盧武鉉大統領は14日、青瓦台(大統領府)で年頭記者会見を開き、「新年の課題は何よりも景気の回復の温かい機運が我が庶民の皮膚に直接行き届くようにすることだ」と述べ、民生改善と経済活力回復に国政の最重点をおくと明らかにした。実際、A4紙7枚半の演説文のほぼ3分の2が経済問題に集中していた。野党も、この民生・経済重視には一定の評価をしている。
盧大統領は、「変化と安定、そして新たな希望」と題したこの日の年頭会見を経済問題から始めた。今年の新年辞をはじめ各行事でのあいさつで「政争を遠ざけ経済を近づける」考えを繰り返し強調してきたことからも分かるように、国民生活向上にかける並々ならぬ意欲を窺うことができる。
経済問題の中でも、職場の確保に全力を入れる考えだ。「職場こそ最高の福祉だ。最も効果的な所得分配策である。今年は職場づくりを政策の最優先順位に置く」と述べ、「職場創出のための経済指導者会議」を開催し、経済界、労働界、市民団体などがともに知恵を出し合い国民的合意を導きだすと強調。また、雇用吸収力が大きい中小企業とベンチャーが世界最高水準の技術力と人材を備え、世界市場で堂々と競争できるように積極的に支援すると明らかにした。さらに、雇用効果が大きく庶民経済と密接した流通、文化、観光、レジャーなどサービス産業育成のため、金融・税制面での支援策を講じる考えを表明した。
国民所得2万㌦時代に向け「技術立国」「人材立国」の基盤を固めることも今年の大きな課題であると指摘、金融、医療、法律、コンサルティングなど知識産業も集中的に育成する考えを明らかにし、「知識水準が高い我が国の若者たちの失業問題解決にも大きな役割を果たすだろう」と期待した。庶民生活と関連、住宅価格を絶対安定させると強調したのも注目され、「投機により庶民の夢が水泡に帰すことが絶対ないようにする」と力説した。
労使問題については、生産性を上回る賃上げの自制を訴える一方、経営者には自ら経営の透明性を高める努力を求めた。また、政府は不法労働行為には断固対応し、政府が使用者の役割をしている公共部門から率先垂範すると述べ、今年を「労・使・政大妥協」の新紀元を実現しようと呼びかけた。さらに、大企業と中小企業間、正社員と非正社員間の所得格差が拡大している点を指摘、労働組合はこの問題についても深い関心を持たなければならないと要望した。
国土の均衡発展、地域の特性に合った開発を特別に言及した点も推今年の年頭会見の大きな特徴だ。
「地方と首都圏がともに発展する均衡発展時代」を目標に5兆ウオンの均衡発展特別会計を編成すると明らかにし、「(京釜高速鉄道が開通し)全国が2時間生活圏に変わる。今年、行政首都の立地が決まる忠清圏は政治と行政の中心、研究開発とバイオ産業のメッカになるだろう」と期待を表明した。
盧大統領は続けて、「このような国家戦略とビジョンは韓半島の平和から始まる」と指摘、「昨年、核問題にもかかわらず、長官級会談をはじめ38回の南北対話が計106日間開かれた。今年は南北関係を内実あるように発展させる」と強調。
盧大統領は演説を締めくくるに際して、「政治と権力、言論、財界間の特権的癒着構造は完全に解体されるだろう」と強調した。
盧大統領は記者との一問一党では次のように答えた。
◆再信任問題を問う国民投票
「野党の反対があり、法解釈でも難しいという解釈が出ており困難。だが、再信任は国民との約束なので、引き続き検討していきたい」と述べ、時期と方法については「(大統領側近不正資金疑惑に関する)特別検察の捜査が終了すれば輪郭が明らかになるだろう」と示唆。また、再信任を4月15日の総選挙結果と関連付ける論議について、「具体的に検討したことはない。関連付けは難しい状況だ」と言明。
◆不況対策
「いまの不景気は短期に回復できない構造的問題をもって出発した」と指摘、「景気回復が遅いのはやむを得ないことだ。忍耐で対処を」と強調。
◆独島問題
「自分の妻を改めて自分の妻と強調する必要はない」と実効支配の妥当性を強調しながらも、「(領有権)論争は国民間の葛藤を増幅し友好増進の負担になる」と強調。
◆通商外交部職員の政権批判
「公職者は大統領の政策と政策路線を尊重し誠実に遂行しなければならない。大統領の政策を変更させる意図で情報流出があった」と指摘、人事措置の可能性を示唆。