韓国銀行は11日、金融通貨委員会を開き、国内金融市場の基準金利であるコール金利(金融会社間の超短期資金取引金利)を0・25%引き上げ、3・50%にした。コール金利を引き上げたのは2002年5月以来3年5カ月ぶり。これを受け、国民銀行など都市銀行も一斉に預金金利を引き上げ(0・1-0・45%)に動いた。景気への影響を懸念して金利引き上げに慎重な政府は、物価不安などに対処するための今回の決定を一応尊重しているが、今後の追加利上げに対しては警戒心を強めている。
朴昇・韓国銀行総裁は、「消費回復と輸出好調に支えられ、経済成長率は下半期に4・6%、来年には5%に高まるのが確実で、韓国経済の回復傾向が見え始めている」と指摘。景気回復に対する自信感が、最終的に金利引き上げを決断させた。
朴総裁はまた、①来年には3%台を超える物価不安が懸念され、あらかじめ対応する必要がある②連続して利上げが続いている米国との金利差が拡大している現実にも対応せざるを得ない②「資源配分の好循環」を誘導する必要性がある――点も指摘した。
金融専門家たちは、このような利上げ理由の中で「資源配分の好循環」を特に注目している。この間の低金利のため、市中資金が不動産など実物資産に殺到してバブルを作り始めており、金融部門でもより高い収益を求め短期金融商品の比重が高まり、生産性部門に資金が回っていないという資源歪曲が指摘されていた。事実、設備投資は依然と低水準にとどまっており、利上げで資金の流れを変えようという意図が明確にある。
また、米連邦準備制度理事会は継続しての利上げを確認しており、米国との金利差拡大による行き過ぎた資本流出を遮断する必要もあった。物価不安に対しては、住宅価格の安定に寄与するとみている。
金利生活者にとって今回の利上げは朗報だが、問題は負債の多い庶民と中小・零細企業への影響だ。6月末現在、韓国の家計が抱えている負債は532兆ウォンに達しており、特にそのうちの186兆ウォンがマイホームのため借りた住宅担保貸出だ。その住宅担保貸出のほとんどは変動金利型であり、利上げの影響をもろにかぶる。また、中朝企業の借金も244兆ウォンにのぼり、影響は小さくない。
◇来年追加利上げの可能性◇
今回の金利引き下げで「低金利時代は終焉した」との見方がある。金融研究院では「来年は経済成長率が上がる見通しである上に、米国が引き続き政策金利を引き上げると予想されるので、韓銀が来年初めに再びコール金利を引き上げるだろう」と予想した。
朴総裁は今後の追加引き上げの可否について、「すべての可能性を検討している。物価や景気、金融市場の状況などを総合的に考慮して判断する」としながら、「来年までは景気回復の助けとなる金利政策基調が必要だ」と述べ、早期追加利上げにはやや慎重な姿勢をみせた。
今回の利上げにも「コール金利引き上げには明確な理由がなければならない」(韓悳洙・財政経済部長官)と慎重だった政府は、景気回復基調がはっきりしない段階での性急な利上げには反対の立場だ。