じりじりと進行していたウォン高に加速がつき、23日の対ドルレートは、一時1㌦=1000ウオンを突破、998・61ウオン(前日比7・5ウオン高)を記録した。対ドルレートが1000ウオンを切ったのは通貨危機以来、7年7カ月ぶりのこと。外為関係者は世界的にドル安基調にあり、1㌦=980-950ウオンにまで下落するとみている。輸出が韓国経済を牽引しているだけに、急速なウオン高が産業界に及ぼす影響は大きく、政府も緊急対策会議を開くなど対応を急いでいる。
23日のソウル外為市場は、取引開始と同時に前日より3・1ウオン下落した1㌦=1003・00ウオンで始まり、3分後には999・00に下落、その後も下げ止まらず998・61ウオンまで突き進んだ。
この急速なウオン高に慌てた韓国銀行は、前日メディアで報じられたドル売り説は事実と異なると公式説明、これを受け為替レートは30分後に1000ウオン台を回復、1003・8ウオンで取引を終えた。
韓銀は、22日の国会財政経済委員会金融小委員会に報告した資料で、2000㌦を突破した外貨保有高の収益性底上げのため、投資対象を多元化すると明らかにした。これが海外メディアを通じてドル売りと打電され、全世界のドル価値が下がり、韓国の株価も急落したため、「韓銀ショック」と呼ばれている。
急激なウオン高は輸出に打撃を与え、消費審理も冷え込ませ景気回復に悪影響を及ぼすのは必至だ。これを受け、財政経済部と金融監督院韓銀は23日、緊急金融政策協議会を開き、必要とあれば韓銀の通貨発行権を利用して外為市場に介入するなど積極的に対応することを確認した。
今回の1000ウオン割れは瞬間風速で終わったが、外為専門家たちは、米国が財政と貿易の双子の大幅赤字を抱える限り、世界的なドル安基調は続き、韓国証券市場への外国人投資資金が殺到している現状に照らし、ドル売りウオン買いは継続すると見ている。
また、昨年史上最大の受注実績をあげながらも、厚板など原資材価格上昇で利益率が急低下した造船業界は、為替リスクに緊張している。
ウオンは円に対しても切り上がっており、これまでの100=1000ウオンの1対10のレートが崩れ、100円=960ウオンにまで下落した。これは、それだけウオン高が急速であることを物語るものであり、政策当局にはすピーとの調節する役割が重要となる。
また、産業界は、急激な日本企業は80年代半ばのプラザ合意でもたらされた急激な円高をコスト削減と競争力強化のきっかにした日本の経験も参考にすべきだろう。