北朝鮮の核開発をめぐる6カ国協議の妥結で、韓国経済にも好影響が出ている。総合株価指数は史上最高の1200近くまで上昇、3大格付け会社の一つ、フィッチ社は「6カ国協議始まって以来の意味ある合意」として韓国の信用格付け引き上げを示唆した。一方で、金剛山観光や開城工団などに限られている南北間の経済協力事業も今後その範囲が広がり、進展が期待できそうだ。韓国政府は、6カ国協議の合意事項が履行されるよう外交努力を傾ける一方、対北朝鮮支援を強化する方針だ。
6カ国協議の結果を好感した株式市場は連日上昇ムードにあり、21日の総合株価指数は前日より5・74アップの1196・67をつけた。証券関係者らは「景気も回復しており、豊富な流動性が株価を押し上げている」と年内に1300突破を期待している。
北朝鮮が核放棄を約束したことで、韓国にとっても北朝鮮リスクが小さくなった。これを受け、大手格付け会社のフィッチは19日、韓国の信用格付けの先行きを「ポジティブ」に修正すると発表した。これは、今後数ヶ月間に大きな問題がなければ信用格付けを1-2段階引き上げることを意味する。だが、別の大手格付け会社であるムーディーズは21日、上方修正しようとしていた計画を保留したと発表した。北朝鮮外務部が「核放棄より軽水炉提供が先」と発表したことを「共同声明の合意事項を揺るがすもの」と受け止めたからだ。
盧武鉉大統領は20日の閣議で、「6カ国協議の結果は、曖昧にまとめられた部分があり、北朝鮮の核問題はすべて解決したわけではないが、解決の糸口はみつかった」として、「今後も難関はあると思われるが、知恵を発揮して克服していく」と強調した。韓国政府としては今後、核問題が解決されるとの前提で対北支援を強化する考えだ。
問題は韓国の役割だが、今回の6カ国協議で最大の争点だった「軽水炉提供」への資金などのコミットメントが大きいと予想される。
統一部と専門家らによると、軽水炉提供までには少なくとも10年以上かかる見通しだ。その間の対北エネルギー支援に必要な金額は、①200万㌔㍗の対北送電のための工事費1兆7000億ウォン②軽水炉分担金9200億ウォン③対北送電が始まるまで支援する重油提供費用4800億ウォン(3年間)④軽水炉感性までの送電費8兆ウォン(8年間)と総額10兆ウォン以上になると見ている。
統一部は、現在6500億ウォンの南北経済協力基金を1兆ウォンまで増やすよう国会に要求、今後の資金需要に対応する考えだが、国民負担が増大するのは避けられない。
政府は一方で、南北経済協力を包括的に進めるため、エネルギー協力以外に鉄道現代化、南浦港現代化、山林緑化、南北共同営農団地開発、南北共有化戦況道利用なども推進する方針だ。
南北経済協力に関しては、7月の南北経済協力推進委員会で、消費財産業と資源開発などの新分野に対する南北経済協力を推進することに合意している。これは北朝鮮の核問題解決を前提にしており、今回の6カ国協議妥結で、来年から履物屋衣類、石けんなどの消費財生産用原資財を北朝鮮側に提供し、北朝鮮側はマグネサイト、亜鉛、石炭などの地下資源開発に対する韓国の投資を保証、事業を推進できる環境が整った。
また、開城工団第2段階開発とイムジン江水害防止、科学技術、保健医療などの協力事業にも拍車がかかるとみられる。
政府関係者は、「米国や日本が北朝鮮との関係正常化に乗りだせば、西側企業の対北進出の可能性も高まる」と期待した。サムスン経済研究所関係者は、「対北経済支援事業に国内企業が大挙参加すれば、南北経協特需が生じ、不振続きの企業の投資拡大と沈滞した内需回復にもプラスになるだろう」と予測した。