ソウルと新義州を結ぶ京義線と東海岸の東海線の東西2本の南北鉄道が南北分断60年ぶりに年内に再開する見通しだ。これはソウルで開かれていた第10回南北経済協力推進委員会で12日合意を見たもの。このため、9月から両鉄道の連結区間の路盤実態を共同で点検、10月に試験運転を行う。また、鉄道路線に沿って走る2本の高速走路の開通式を10月に行うことでも合意した。
韓国側は京義線と東海線の南北連結工事をすでに2003年6月に終えている。しかし、北朝鮮側の連結作業が遅れ、核開発など政治的な問題もあって、鉄道連結事業は事実上凍結状態だった。今回の合意で再び動き出すことになり、本格化し出した南北経済協力のインフラ面を支えることになる。
現在、京義線の場合は軍事分界線から北朝鮮側開城区間の電気信号・通信工事、東海線は韓国側の江原道高城郡猪津から軍事分界線区間の路盤工事が残っている。今回、路盤に対する共同点検が決まり、試験運転も日程化された。今度こそ南北鉄道が連結するとの期待が高まっているが、南北境界線を越えて列車が通れば画期的なことだ。
今回の南北経済協力推進会議ではまた、北朝鮮の資源と韓国の資本、技術を結合して、北朝鮮の消費財産業を発展させ、天然資源を共同開発しようという南北間の新らしい経済協力の枠組みがつくられた。
新方式の南北経済協力は、特に北朝鮮側が積極的で、来年から実施することになった。その内容は、韓国側が衣類、履物、石けんなど生活必需品を生産する時に必要な原資材を北朝鮮側に提供する代わり、北朝鮮側は亜鉛、マグネサイト、燐灰石精鉱、石炭などの地下資源開発に対する韓国側の投資を保証し生産物を提供するというもの。
言ってみれば、従来の対北支援一辺倒からウィンウィン関係に発展させようというものだ。ただし、資源開発はただちにできるものではなく、ある程度中長期的に取り組まなくてはならないと韓国側も認めている。しかし、その意味は大きい。最も目を引く資源はマグネサイト。耐火物質の原料として宇宙船表面の耐火タイルなどにも用いられる。北朝鮮のマグネサイト埋蔵量は世界1の36億㌧とされる。
会議では12項目の合意文書を発表したが、水産面での協力も大きな成果だった。共同漁労、養殖、水産物加工などを協議した結果、初の南北水産協力実務会議を25日から3日間開城で開き、具体的に決める方針だ。西海での軍事衝突を避け、南北の漁民の共同利益を
図る方向で模索することにしている。また、▽9月中に開城工業団地内に南北協力事務所開設する▽開城工業団地に入居している15社の工場建設を年内に完了する▽11月に経済使節団を相互派遣する――など盛り沢山の内容となっている。
南北経済協力は、金剛山開発、開城工業団地開発、南北鉄道・道路連結が3本柱になっているが、新たな協力策などが今後具体化すれば南北経済協力はさらにアップグレードすることになる。