韓半島最高峰の白頭山(2744㍍)と高麗王朝の古都・開城が、金剛山に次ぐ新たな北朝鮮観光コースとしてスポットライトがあたっている。北朝鮮訪問を終えた現代グループの玄貞恩会長は17日、「金正日総書記と会談、白頭山と開城観光事業に合意した」と明らかにし、「開城は8月15日前後、白頭山は8月末ごろからそれぞれテスト観光を実施し、年内に一般人の観光を本格化する計画」と述べた。200万㌔㍗の送電計画が発表されたばかりだが、観光事業でも南北間の交流・協力は加速がついている。
玄貞恩会長は現代峨山の金潤圭・副会長らと12日から陸路で金剛山入りし、16日に元山で金正日総書記と会談し、今回の収穫を得た。
この会談で金総書記は開城と白頭山観光を許可し、絶景で有名な内金剛に対しても観光が可能かどうか調査することを提案。現代側は金総書記直々の前向きな回答を受け、長い間の北朝鮮事業が認められたと自信を深めている。
この電撃合意により、現代峨山は、具体的な作業に着手、白頭山観光については2つのルートを中心に検討している。ひとつはソウルの金浦空港から平壌の順安空港に到着したのち、陸路で白頭山に向かう方法。もう一つは直行路線で白頭山近くの三池淵空港に向かう方法だ。ただし、三池淵空港は滑走路の補修が必要とされ、8月末のテスト観光まで時間があまりないことを考慮すれば、平壌経由が有力視されている。
現代峨山関係者は、「順安空港を利用すれば平壌観光も可能だ。平壌で1泊、3泊4日のコースが組めるのではないか」として、「白頭山周辺の宿泊施設20棟の使用権も得た」と明らかにした。
また、開城観光について「開城には文化遺跡地が多く、滝なども市内から1時間以内の距離にある。日帰り観光も可能だ」と語った。
白頭山は国境地帯にある火山。頂上には天地と呼ばれるカルデラ湖があり、中国との国境である鴨緑江や豆満江はこの山を源流としている。韓半島の霊山・霊峰であるが、白頭山観光は現在、中国側から登っている。中国経由のため時間的ロスが多く、直行で行けるようになれば人気スポットになるのは間違いない。
なお、中国経由の場合は進入路付近が大雪になるため、夏期の3カ月半(6月から9月初め)に限定されている。
一方、ソウルから車で1時間半(78㌔)で行ける開城は城郭都市で、高麗王朝を建国した王建王陵をはじめ朴淵瀑布など名所の宝庫だ。高麗大学の北韓学研究所の調査によると、開城観光が始まれば、年間で最大125万人の観光客が訪れる見通しだ。
旅行業界には問いあわせの電話が殺到。来年から白頭山と開城観光が本格化するとみて、旅行商品づくりを急いでいる。
損保大手の現代海上では、「白頭山、開城観光が解禁となることで金剛山観光事業の活性化が期待できる」として、北朝鮮観光での事故補償に関するシステムの強化を打ち出している。
最近の南北関係の急進展に照らし、この両観光事業も進展すると期待されている。