今年の経済成長率目標5%に暗雲がたれ込めている。韓国銀行が発表した第1四半期(1-3月)の経済成長率が目標を大きく下回る2・7%に墜落したからだ。2%台に下がったのは2003年第3四半期(7-9月)以来のことで、年初に政府や専門家の間に広がった景気楽観論は冷水を浴びせられた格好になった。
低成長に陥った原因について、韓銀は週休2日制の拡大にともなう製造日数の減少と昨年末に値上げしたたばこの減産の影響が大きいと説明している。たばこ減産は成長率を実に0・4ポイント引き下げる効果があった。また、経済を牽引してきた輸出が8・1%増に落ち込んだことも大きい。3年ぶりの1ケタ増加率だ。逆に、期待された民間消費増加率1・4%にとどまった。
消費回復が期待以下だった原因は大きく3つのことが指摘されている。一つは、家計部門が通貨危機の後遺症と信用カードバブルからまだ回復していない点。1990年代に15%台だった家計の可処分所得は通貨危機以降5%台に落ち込んだまま回復していない。
第2は、企業の投資不振だ。第1四半期設備投資増加率は3・1%にすぎず、大方の予想値5%を大きく下回っている。特に、産業生産が伸び悩んでいるのは、この数年にわたり企業の設備投資不振で工場の生産能力が拡大していないためとみられている。
第3は今年に入り不動産投資抑制策により建設景気が委縮した点がある。第1四半期実績で建設投資はむしろ2・9%減少している。受注物量のうち建設が先延ばしされている件数も少なくないという。
これで、政府が目標にしている今年の経済成長率5%を達成するためには、今後下半期(7-12月)に6-7%の高成長を実現しなければならないが、事実上不可能だ。政府はいまのところ目標成長率を引き下げる考えはないとしているが、いずれにしても対策が迫られいる。
一つに企業の投資を活性化し、海外消費を抑制する策を講じる必要がある。国内投資は低調だが、海外投資は10%以上の伸びを示している。国内の民間消費は伸び悩んでいるが、毎年15-20兆ウォンが海外で消費されている。最近「海外脱出」現象が様々な部門で広がっているが、国内体制面での再整備も急がれそうだ。