現代自動車グループ系列の現代INIスチールの一貫総合製鉄所建設計画をはじめ、ポスコや東国製鋼の海外進出計画拡大など韓国鉄鋼業界が大々的な攻撃経営に打って出ている。国内自動車メーカーの生産台数拡大や巨大市場の中国での鉄鋼需要増大を見込んでのことで、設備拡張の動きは今後さらに加速しそうだ。
最も注目されるのがINIスチールの高炉建設を含む一貫総合製鉄所建設計画。海外から輸入した鉄鉱石から溶けた鉄を分離して、産業用の鉄鋼製品を生産する全システムを持つのはこれまでポスコだけだった。
現代グループが高炉事業にまで進出すれば、現代INIスチール、現代ハイスコ、BNGスチールなど既存の系列会社を従え、ポスコの強力なライバルとして頭角を現すようになる。
高炉事業は第1段階として6兆ウォンを投入、年産700万トン規模の高炉を建設、長期的には1400万トン体制に拡大する計画だ。建設候補地は忠清南道・唐津のINIスチール唐津製鉄所(旧韓宝鉄鋼)周辺が有力とされる。
すでに唐津工場の隣の韓宝エネルギーの土地30万平方㍍を買収するとともに、西海沖合76万平方㍍を埋め立て高炉建設敷地を確保する案を進めている。だが、700万トン規模の高炉を建設するためには150万平方㍍以上土地が必要とされ、追加確保が必要となっている。
当初、一貫製鉄所事業は巨額の投資を要するうえ、中国で鉄鋼の過剰生産の恐れもあるため慎重論もあった。だが、早期建設に踏み切ったのは鄭夢九会長の強い意向があったためと言われている。鄭会長は昨年の韓宝鉄鋼買収に際して「必要とあれば、一貫製鉄所事業に進出する」考えを内密に明らかにしていたという。
一方、世界企業のポスコは、中国進出の他にもインドやブラジルなどへの進出も進めている。特に100億㌦にのぼる対インド進出計画は決定段階にある。また、昨年創立50周年を迎えた東国製鋼グループは、系列のユニオンスチールの中国現地生産設備を30%大幅拡充したほか、ブラジル現地生産設備の建設も検討している。INIスチールは唐津工場を早期正常化し、来年末までに生産能力を500万㌧以上に拡大する計画だ。