今週の外為市場は、週明けからウォンの対ドルレートが、通貨危機の98年11月以来、7年半ぶりに1㌦=1000ウォンを突破、900ウォン台に進入した。2日後には、1000ウォン台に戻したが、世界的なドル安基調と中国元に対する米国の執拗な切り上げ要求などからウォン基調は続き、980ウォンまで行く可能性が高いと市場関係者はみている。
週明けの25日のソウル外為市場は、1㌦=998・90で取引を終えた。先週末より5・1ウォンの切り上げだ。1997年11月14日(986・30¥ウオン¥)以来、対ドル為替レート3ケタ時代突入となった。最近6取引日間での切り上げ幅は23・6ウォンになる。
今回のウォン高は、巨額の経常収支赤字拡大を背景にした世界的なドル安のためだが、固定相場にしている中国の為替制度変更可能性に触発された面が強い。
中国人民銀行の周小川総裁が23日、中国の海南島で開かれたアジアフォーラムで「もし外部の圧力が強まれば、中国が外為制度改革を速めることになるだろう」などと述べたことから、人民元の切り上げ観測が強まり、アジア全域でドル安が進行した。ただし、中国政府は周発言と関連、人民元の切り上げ可能性を否定している。
市場関係者は、「ウォン高は急速でなく、当分間1㌦=995ウォンから1005ウォンで推移するだろう」と分析。実際、25、26日は998・90ウォンだったが、27日1002・80ウォンをつけた。
外為当局は介入に慎重であり、「最近のウォン高は、世界的なドル安の中で、アジア通貨も共通して強勢に転じている現象であり、このような状況で介入する必要はない」としている。また、人民元切り上げについても、当面その可能性は小さいと見ている。
銀行関係者は「ドルのグローバル弱勢は当局もどうすることもできない。問題はむしろ、日本円より過度に切り上がらないことだ。世界市場で日本製品と競争している関係で、直接的な影響が大きい」としている。日本円もこの20日間で1㌦=109円台から105円に動いた。
一方で、金融専門家は「通貨危機以降、ウォンが低評価されてきたが、韓国経済は競争力を回復しており、通貨危機前の水準に戻っただけにすぎない。980から960まで進むと見た方がいい。輸出業界はそれに備えた戦略を構築するべきだろう」と指摘している。