放送委員会は、地上波移動マルチメディア放送(DMB=Digital Multimeddia Broadcasting)を行う事業者6社を選定した。選定された事業者は早ければ5月から試験放送を開始する。すでに今年初めから試験放送を開始した衛星DMBは5月から本放送を開始することになっており、地上波DMBも参入することで、韓国は本格的なDMB時代を迎えることになった。
DMBの最大の特徴は、移動しながら、いつどこでもテレビを見ることができること。7インチ以下の画面の携帯電話や携帯端末機(PDA)でテレビ放送を視聴できる「掌のテレビ時代」の到来でもある。また、180キロの高速で走る車の中でも車両用端末で、CD並の音質で鮮明なデジタル画面を楽しめる。国民のほとんどが携帯電話を所持する「モバイル天国」の韓国は、放送と通信を融合するデジタル時代主導へ向けさらに大きな一歩を踏み出した。
今回選定された6事業者は、地上波放送グループでKBS、MBC、SBSの3社、非地上波放送グループではYTN、DMB、KMMBの3コンソーシアム。放送委員会は各分野の専門家14人からなる審査委員会で3月22日から27日にかけ非公開の審査を行い、MBCが955・40点の最高点を獲得した。
放送委によると、地上波DMBは5月から首都圏で順次サービスを開始、来年以降に全国に拡大する予定だ。衛星DMBはテレビ12チャンネル、ラジオ22チャンネルで、地上波DMBはテレビ6チャンネル、ラジオ14チャンネル、データ8チャンネルで運営する。衛星は有料(月1万3000ウオン)だが、広告収入を当て込んだ地上波は無料放送する予定。
視聴者見通しについて、電子通信研究院では地上波DMB利用者は今年は40万人にとどまるが、2010年には1000万人を突破するとみている。
問題は放送内容。現在国内にある約200の番組製作会社中、合格点に達しているのは半分以下とされる。衛生DMBは報道、映画、音楽など専門チャンネルとして、地上波DMBは総合番組として放送するが、どれだけ良質のコンテンツを確保して放送できるかが最大の課題だ。
各事業者とも既存の番組を80%以上そのまま再放送できないようになっているが、もちろん再放送に安住しては視聴者からそっぽをむかれる。放送事業に詳しい専門家は「自前の番組をどれだけ確保できるに勝敗がかかっている」と指摘している。
KBS関係者は、「地上波DMBは既存放送とプライム時間帯が違い、移動放送という特徴があるので、一幕劇や情報番組を新たに製作する考えだ」と語っている。衛星、地上波入り乱れての多チャンネルDMB時代を制するのは誰か。「春秋戦国時代の死活を賭けた競争」と国内マスコミも強い関心を寄せている。