先進国の温暖化ガスの排出削減を義務づけた京都議定書が16日、発効しした。最大の排出国、米国が同議定書から離脱するなど問題をはらんでのスタートだが、人類社会は地球環境を守ろうと歴史的な一歩を踏み出した。批准国は韓国をはじめ日本、EU(欧州連合)など141カ国・地域。まず先進諸38カ国を対象に2008年から2012年までの5年間に二酸化炭素(CO2)など6種類の温暖化ガスの排出量を1990年比で少なくとも5%減らすことになった。韓国は「途上国」に分類され、今回は削減義務を負わないが、2013年からは削減義務国になるのは避けられない。国際社会の環境重視の流れに積極的に対処することも迫られており、政府・産業界はすでに温暖化防止への取り組みを開始した。
韓国は2012年までは削減義務を負わないため、まだ時間があるようにみえるが、実際は目前の問題だ。まず輸出に直結する。特にEUは環境規制を強化しており、欧州向けに輸出する自動車は2009年から2酸化炭素排出量を現在の1キロメートル走行当たり186㌘から140㌘に減らさなければならない。半導体業界も2010年までに洗浄剤として使用するパーフルオロカーボン排出量を1997年より10%以上減らさないと、対EU輸出は困難になる。
韓国の現在の温暖化ガス排出量はIEA(国際エネルギー機関)の調査で世界9番目に多い4億3400万トン。経済発展に伴い90年に比べ培増しており、世界最高水準の増え方だ。急いで準備しなければならない状況だ。燃料電池のような低公害・無公害の未来型自動車開発に乗り遅れることはできず、また環境に優しい製品開発にも拍車をかける必要がある。自動車業界はこのため対策を急いでおり、実際に二酸化炭素を多く排出する車両の輸出を一時制限する動きもあった。現代自動車は、特別チームを編成、2008年まで親環境車両の開発など3段階の対策を樹立。2009年をめどに水素燃料電池車をモデル輸出する目標を立てている。
半導体業界も、地球温暖化の影響が少ない代替ガス導入や工程最適化などの対策を進めている。サムスン電子は国内の事業所から鉛と水銀など6大有害物質を含まない製品試算と原資材需給体制の構築を終えた。3月までには海外事業所にも拡大、早期に親環境型製品を出荷する計画だ。
環境汚染物質を相対的に多く排出する製油と化学業界も対策に腐心。SKはすでに、最近5年間の法定基準値より強化された環境管理基準を設定し、汚染物質発生を根本的に減らす完全監理政策を実施している。鉄鋼業界は、親環境型の製鉄工法の開発など多角的な技術開発を進めている。ポスコは燃料電池(水と水素で電力を生産する発電設備)を新規事業に設定、年内にテスト生産完了をめざしている。
政府は環境産業育成など対策に本腰を入れており、気候変動枠組み条約対策委員会で選定した90課題に取り組むため総額21億兆4807億ウオンを投入、温暖化ガス排出削減及びクリーン技術開発などに全力を入れる計画だ。来年から鉄鋼、化学、セメント、製紙業など温暖化ガス排出量が3万トン以上の業種を中心に排出権取引制を実施することを検討中だ。また、エネルギー消費量を減らすため、公共機関で今後3年間はエネルギー消費総量規制することも予定している。特に山林庁は、2022年の国内炭素排出予想量2億4500万トンの3%を吸収するため、森づくり事業などを通じて625万㌶の山林を造成する計画だ。
現代経済研究所によると、韓国が温暖化ガス排出量を10%減らそうとすれば、2020年には少なくとも2兆9468億ウオン、最大28兆6323億ウオンの費用がかかる。これは韓国のGDP(国内総生産)の0・4-4・4%に当たる。備えあれば憂いなし。「脱炭素社会」へ向け英知を総結集する時だろう。
人類社会が産業発展を遂げる中で排出されてきた二酸化炭素、メタンなどの地球温暖化ガスの影響は、干ばつ、寒波、異常高温、異常多雨など様々な異常気象をひんぱつさせており、海面上昇によりツバルなど島嶼国は海面に沈む危機に見舞われている。
異常気象による経済的損失は90年代に400億㌦に達していると報告されており、このような人類社会の危機に対して気候変動枠組み条約の取り組みが開始され、97年に実際の排出ガス削減を取り決めた京都議定書が採択された。
だが、世界の4分の1を排出する最大排出国の米国が同議定書から離脱したため、「排出量の55%を占める55カ国以上の批准」と規定された発効条件が充足されなかった。やっと世界第3位のロシアが批准したことにより発効することになった。
韓国は、気候変動枠組み条約が採択された92年に「開発途上国」であることを理由に2008年からの削減義務を免除された。この中には中国、インドなどベスト5に入る多量排出国も含まれている。