ポスコ建設が、ナイジェリアから100億㌦規模の鉄道建設工事を受注した。丁世均・産業資源部長官とエドモンド・ダウコル石油相が6日、ソウル市内のホテルで了解覚書(MOU)を締結した。韓国建設史上、海外から受注した単一プロジェクトとしては最大規模。これまでは東亜建設がリビアから受注した大水路工事が最大だった。時を同じくしてソウルで、韓国とアフリカの協力関係を強化する初の韓国・アフリカフォーラムが開かれた。これを契機に今後、韓国の対アフリカ進出が本格化しそうだ。
今回の受注は、ナイジェリアが国家事業として推進している総額350億㌦にのぼる「鉄道現代化プロジェクト」の第2段階工事。同国大西洋沿岸都市ポートハルコートから内陸都市のマイドグリを連結する1500㌔㍍の工事だ。
事業代金はナイジェリア政府が保証する。うち10%に当たる10億㌦は韓国の金融機関が年利3%の低利の商業借款として供与する(同国の政府調達金利は通常8%)。その代わり、現在石油を生産している油田の一部権利(1億バレル相当)を譲り受ける。産業資源部は、「ナイジェリア政府が確約した1億バレル規模の油田持ち分は、韓国がこれまで確保した油田の3分の1に相当する規模だ」と説明した。
韓国が今回の受注に成功したのは、ナイジェリアのオルシェグン・オバサンジョ大統領の意向が強く働いたとみられる。昨年7月、同国の首都アブジャの大統領官邸。石油鉱区開発権を与える代わりに韓国石油公社、韓国電力、ポスコ建設が発電所とガスパイプラインを建設する両国政府間MOUが締結された。
その直後のこと。オバサンジョ大統領は突然、「ポスコ建設は鉄道事業もしますか」と聞いてきた。「ええ、やります」と答えると、「では、わが国の鉄道再建プロジェクトも検討してくれませんか」と求めた。ポスコ建設の韓秀洋社長は、興奮を禁じ得なかったという。
この時から100億㌦工事受注のための秘密作戦が開始された。ポスコ建設は昨年9月から2度にわたり現地調査を実施、「韓国の京釜線のように中心幹線軸を優先完成してこそ経済性がある」とした意見書も提出。ナイジェリア交通部長官一行が訪韓、京釜高速鉄道KTXまで試乗した。だが今年4月、伏兵が現れる。中国の胡錦涛主席がナイジェリアを訪問、10億㌦の鉄道借款を含む30億㌦相当の借款を3%の低利で提供すると発表したのだ。結局、ラゴスからカノに至る1315㌔㍍の第1段階工事(83億㌦)は、中国の土木工事グループが受注した。
中国に先を越されたポスコ建設は、油田と鉄道を連携させ、借款供与を考えた。国内銀行に油田を担保に資金を提供して貰おうという作戦だ。8月には産業資源部が、次官を団長とする経済協力施設団がナイジェリアを訪問するなど援護射撃も行った。このような過程を経て、第2段階工事受注となった。
これからは時間との戦いになる。中国より早く鉄道建設を終え、信号システムや車両スペックなどを韓国式にしたいからだ。そのためにも、商業借款のため銀行から資金を集め早期に工事に着手できるかが鍵を握る。
また残る第3、第4工事(計167億㌦)の受注を巡って、韓中間で今後し烈な争奪戦が予想される。ポスコ建設は今回の受注を契機に、第3、第4工事の受注戦でも勝利し、これを足場に隣国ベニンやガボン、アンゴラへの進出も狙っている。