政府は2030年までに韓国を最先進福祉国家に建設することを目標にした長期ビジョンを発表した。張秉浣(チャン・ビョンワン)・企画予算処長官はこのほど、盧武鉉大統領をはじめ国務委員や民間の専門家ら180人が出席する中、「ビジョン2030―ともに進む希望の韓国」という報告書を発表した。報告書は、2030年の国民1人当りのGDP(国内総生産)は4万9000㌦に達し、現在1万6000㌦より3倍以上高くなると予想しているが、今後25年間に総額1100兆ウォンの天文学的な財政が必要であるとしながら、財源調達方法は国民の論議結果に任せるとゲタを預けている。
今回の長期ビジョンは企画予算処をはじめとする政府関係者、KDI(韓国開発研究院)、租税研究院、学会専門家ら60余人が1年かけてまとめあげた。報告書は、制度改革と果敢な投資を通じて、少子・高齢化、両極化など当面懸案をまず解決すべきとしている。特に、研究開発や高等教育に対する投資、社会福祉拡充などに力点をおいた投資戦略を提示。
計画では、国家競争力が2005年の29位から 2030年には10位に、また生活の質は41位から10位にそれぞれ上昇する見通し。政策課題としては、小学校の入学年齢と軍入隊年齢を下方調整し、働くことができる人材をより多く確保する方案を検討する。労動市場や国際環境に合わせ、小・中・高を5・3・4年制に調整することも論議する。
財源問題については、2007-2010年に必要な4兆ウォンは増税せずに歳出構造の調整、非課税減兔の縮小などで確保できると明らかにした。
だが、その後に必要な1096兆ウォンは、増税で充てるか、国債発行で解決するか、国債と増税を組み合わせるか否かに対する国民的論議が必要だと説明した。現在の租税負担率は19・7%だが、税金で充当すれば24%に高まる。これに年金や健康保険などの社会保険費用を加えた国民負担率は30%に高まる。財源調達方法は国民的議論を経て2011年前に決定することを提案している。
盧大統領は「福祉中心の戦略と誤解される可能性があるが、今回発表されたビジョン2030は、福祉だけではなく、技術革新、人的資源開発、能動的世界化、社会的資本拡充など、包括的な国家経営戦略報告書である」と強調した。