ベトナムがドイモイ(刷新)政策導入して20年。独立後初めて開催した大規模国際行事、APEC(アジア太平洋経済協力会議)首脳会議も成功裏に終えた。5年後には1人当たりGDP(国内総生産)を現在の2倍の2000㌦に増大させる計画だ。ベトナムではいま、繊維業にとどまらず、不動産開発、金融、IT(情報技術)、重機械など産業全般にわたって、外国人バイヤーと投資家の行き来が頻繁だ。来月7日には150番目のWTO(世界貿易機関)加盟国となる。5年前のWTO加盟後、貿易と投資が爆破的に増加、急成長した中国の後を追う勢いだ。この黄金市場をめざして韓国企業の進出が活発化している。
韓国のベトナム投資は累計58億㌦。台湾、シンガポール、日本に次ぐ水準だ。だが、今年に入ってからは10月末で7億7000万㌦に達し第2位。
ポスコは、ベトナムでの単一投資規模としてはこれまで最大だったインテル(10億㌦)を抑えて、11億㌦を投入して2010年までに年産150万㌧の冷延設備と300万㌧の熱延設備を建設する大型投資を実施する。ホーチミン市で主にテレビを生産しているサムスン電子はハノイ北部にプリンター生産団地建設計画を推進する一方、携帯電話工場の建設にも着手した。流通業もロッテマートがべトナム政府から流通業の事業認可を得て、08年上半期(1-6月)からホーチミン市に1号店をオープンする。今後5年間に15-20店舗に増やす計画だ。
そうした中、ベトナムに造成される韓国企業専用工業団地の立地が18日、ハノイ北東部のバクジャン省に確定した。敷地面積100平方㍍、同省政府と韓国土地公社が共同で推進、08年完工をめざす。
大韓貿易投資公社関係者は、「ASEAN(東南アジア諸国連合)市場は、日本資本と華僑資本が席巻し、韓国企業が参入する余地が多くない。だが、開発が始まったばかりのベトナムは韓国企業が市場を先取りできる」と述べ、WTO加盟で即発された外国企業のベトナム進出ラッシュの中で韓国企業が頭角を現している現状を説明した。
特に建設市場は、「主要都市で新たに企画されたプロジェクトの半分は韓国企業が担当している」といわれるほど、韓国パワーは圧倒的だ。
首都ハノイ中心部から西側にある北アンカイン新都市建設(260平方㍍)も韓国のポスコ建設が今年末に着工する。
また、ハノイ中心部から近いトイホイでは、敷地200万平方㍍規模の韓国型新都市建設が進められている。これは大宇建設、コーロン、京南、大元、東一など5社が共同建設する。
ホーチミン市では、旧大統領宮、米英独など欧米の主要大使館があった市内中心地域の1万3200平方㍍に錦湖アシアナプラザが建設される。地上21階建てホテルとオフィステル、32階建てアパートの3棟からなる高級複合ビジネスセンターだ。完成すれば、隣接するブランド店など高級店が多く入ったダイヤモンドプラザを凌駕するホーチミン市のランドマークとなる。
建設関係者は「WTO加盟で外資誘致が急増し、オフィスビルと高級住宅の需要が急増しているが、需要が追いついていず、不動産価格が急騰している」と語った。
資源開発では大きな成果をあげた。ベトナム南部の海岸都市ブンタウから280㌔離れたロンドイ海底ガス田(11-2鉱区)。今月17日、ここから本格的な生産が開始された。韓国石油公社が15年前に事業参加を決定、探査から開発、生産に至る全過程を独自技術で成し遂げたものだ。韓国にとって初の海外ガス田。韓国の出資比率は75%、3億3000万㌦。大韓石油公社をはじめLG、大成などが参加。残り25%はベトナムの国営石油会社のペトロベトナム。3年前に80-90㍍の海底でガス田を発見。埋蔵量は、韓国の年間ガス輸入量の80%に相当する9000億立方㍍(LNG換算1800万㌧)と超軽質原油2300万バレル。今後、23年間にわたり生産、16億㌦以上を稼げる見通しだ。
ベトナムは20億バレルの原油と5兆立法㍍の天然ガスが埋蔵されていると推算されている有望地域だ。また、石灰石、大理石、石炭、マンガン、ニッケル、チタニウム、タングステン、亜鉛などの鉱物資源も豊富だ。錦湖タイヤはベトナムの豊富な天然ゴムに注目、08年に稼働するタイヤ工場の横にタイヤの原料となるゴム農場を建設した。一方で、15年建設予定の原子力発電所の受注戦も始まっている。韓国、フランス、ロシア、日本などが入り乱れて水面下で動いている。