起亜自動車が、米国のジョージア州のウェストポイント市で年産30万台規模の工場建設に着手した。2009年完成を目標に10億㌦を投入する。中国、スロバキアに次ぐ同社3番目の海外工場であり、現代・起亜自動車グループにとっては9つ目の海外工場となる。現代・起亜自動車グループの鄭夢九会長は、起工式で、「ジョージア工場は米国だけでなく、中南米輸出基地として活用する」と強調した。
起工式は先週末に現地で行われ、鄭夢九会長をはじめ、鄭義宣・起亜自動車社長、ソニー・パーデュー・ジョージア州知事、ビリー・ヘッド・ウェストポイント市長ほか関係者多数が参加した。
「イエス様、わが都市が起亜自動車工場を誘致できて感謝します」と書かれたプラカードが掲げられ、起工式は祝祭雰囲気に包まれた。主力の繊維産業の低迷で沈滞気味だったウェストポイント市民は「神の祝福」とまで考えたのだろうか。パーデュー州知事は、「起亜自動車工場は単一案件としてはジョージア州の歴史上、最大の投資誘致である」と手放しの喜びようだった。
このジョージア工場は、起亜自動車にとって中国の蘇州省塩城市に建設した中国第1工場(年産13万台)、年内に大量生産を開始するスロバキアのジリナ工場(年産30万台)に次いで海外3番目の生産拠点。来年末に完成予定の中国第2工場(年産30万台)を合わせると、海外103万台生産体制となる。
2009年には、現代自動車の海外生産能力が200万台規模に拡大する見通しであり、現代・起亜自動車グループは国内320万台、海外300万台の生産能力を持つ文字通りグローバルメーカーに発展する。
起亜自動社が米国工場建設に踏み切ったのは、人口3億人に達する世界最大の自動車市場を攻略するためには現地生産体制を構築するのが必須と判断したためだ。ちなみに、昨年の北米市場の自動車販売台数は計1855万台に達し、全世界の販売台数の29%を占めた。
起亜自動者関係者は、「海外に工場を建設すれば、為替リスクが根本的に解消される。また通商摩擦も防げるし、物流費も大幅軽減できる」と語った。すでに進出した現代自動車のアラバマ・モンゴメリー工場(年産30万台)が134㌔離れた近接した場所にあり、部品共有など相当なシナジー(相乗)効果も期待できる。
現代・起亜自動車グループは、ジョージア工場が本格的に稼働する2010年には北米市場の販売量が165万台(現代100万台、起亜65万台)に達し、シェアは8・5%に高まるとみている。これは北米市場で第5位の市場占有率だ。昨年の北米市場販売実績82万台(現代52万台、起亜30万台)の2倍に達する。
ジョージア工場の着工で現代・起亜自動車グループのグローバル経営に拍車がかかることになった。鄭会長は起工式で、ジョージア工場の早期完工を強調するとともに、「自動車産業は労働集約的であることから、車を安く生産できるインドに関心がある。また東欧圏も関心の対象だ。スロバキア工場は来年3月に完成する」と語り、米市場とともにインド、東欧圏への本格進出する考えを示した。