国土の大部分が砂漠の国、UAE(アラブ首長国連邦)。この国の最大の関心事は豊富なオイルマネーを活用した「砂漠の緑化」だ。中東地域でのインフラ建設に定評のある現代建設、現代重工業、斗山重工業など韓国のプラントメーカーは、その砂漠にオアシスをつくる緑化事業に取り組んでいる。特に、UAEを構成する7つの首長国の一つ、フジャイラで本格的に稼働を開始した斗山重工業の大型淡水・発電プラントはUAE全体の電気の8・9%、飲料水の11%を供給している。
フジャイラはUAE最大の都市、ドバイから東方150㌔の地点にある。海抜1000㍍のハジャール砂漠とオマーン湾の間にあり、年間降雨量はわずか30-40㍉。この地に663メガワット時の発電設備と1日45万6000㌧の海水を飲料水に変える淡水化プラントを完成させた。韓国の大田市(150万人)が使用できるほどの淡水量だ。この飲料水は隣接するドバイを世界的なビジネス・金融・観光都市に作りかえるのに欠かせなくなっている。
この大型淡水化・発電複合プラントを2001年6月に8億㌦で受注したのは斗山重工業。100%自主技術で、設計から施工まで責任を持ち工期を半年繰り上げて3年で完成させた。52万平方㍍の敷地にガス・スチーム発電所、淡水化設備など20を超える建物群が立つ。投入されたコンクリートは12万8000㌧、電気ケーブル2030㌔㍍にもなる。海水を淡水化するための核心設備である超大型蒸発機5基は慶南昌原で製作、船に載せて現地まで運ばれた。現地で製作するより工期短縮に大いに寄与した。
評判を得て、隣国のオマーン政府からも同様の大型プラントを受注し、来年4月完成へ向けて試験稼働に入っている。
斗山重工業は現在、UAE、オマーンをはじめ、カタール、サウジアラビア、クウェートなど中東各国の12カ所で淡水化・発電プラント建設事業に携わっている。斗山関係者によると、2025年まで中東の淡水化プラント事業は800億㌦相当に達する。発電プラントは2200億㌦と推算されており、併せて3000億㌦の黄金市場だ。斗山など韓国のプラントメーカーがオイルマネーの環流をめざして中東各地で活発な商談を繰り広げているのもこのためだ。
5月には盧武鉉大統領がドバイを訪問。次いで訪問した韓明淑総理は、19日、ムハンマド副大統領と会談し、プラントや貿易、投資などで協力する経済共同委員会の構成で合意した。
70年代に現代建設など韓国企業が、中東で相次ぎ工事を受注、外貨獲得に大いに貢献した。いま始まっている緑化プロジェクトをはじめとする中東の一大建設ブームは、工業化、観光レジャー地化をもにらんでおり、事業規模も巨大だ。UAEは今後5年間に2300億㌦のインフラ投資を計画しており、ドバイだけで7年間、520億㌦にのぼる。韓国は「第2の建設輸出時代」を迎えることになりそうだ。