韓国初の民・軍共用通通信衛星「ムグンファ5号」が22日、打ち上げに成功した。これで探査衛星に続き、通信衛星でも世界10位圏入りした。今回のムグンファ5号は、韓国通信大手のKTと国防科学研究所が共同開発、フランスのアルカテルスペース社が製作した。韓国の通信衛星はこれが4つ目だが、これまで韓半島にとどまっていた衛星放送サービスで日本、中国東部、台湾、フィリピンなどまでカバーできるようになった。また、今回初めて軍用機能も持ち、搭載した36個の中継機のうち12機が軍用で、韓国軍の指揮通信能力が画期的に高まると期待されている。
KTと国防科学研究所の発表によると、ムグンファ5号は22日午後12時27分(韓国時間)、ハワイ南方の赤道上公海(北緯0度、西経154度)で成功裏に打ち上げられ、フランスのツールーズにある地上管制センターが、打ち上げから1時間15分後に初交信に成功した。ムグンファ5号は、地球の周囲を回り9日後には高度3万5786㌔の停止軌道に乗る。そして、1996年打ち上げられ寿命が尽きたムグンファ2号と入れ替わることになる。
今回、韓国の衛星としては初めて地上の打ち上げ台ではない船上の発射台から打ち上げられた。米シーランチ社が担当。安全性と環境、国際法の問題を考慮したという。KTが費用の54%を負担した。
ムグンファ5号の打ち上げ成功を受け、通信衛星サービスの領域が拡大。例えばフィリピンに海外出張しても、衛星放送を通じて韓国からのドラマやニュースをリアルタイムで視聴できる。
KT関係者は「ムグンファ5号に搭載された民需用中継機24個のうち、12個はムグンファ2号の役目に代わり、残りの12個はアジア地域に韓流コンテンツなどを供給するとともに、海外の韓国企業と本社間の衛生連絡網を構築にも活用する方針」と説明した。
軍用として搭載された12個の中継器は、最先端ITで開発された。来年から陸海空軍の統合指揮体系の運用のため戦略・戦術通信網として使用される。国防部は「山が多いため電波の遮られやすい韓半島の弱点をカバーできるほか、通信施設が攻撃されたとしてもリアルタイムに指揮統制がとれる」と説明している。
現在、韓国軍の主な通信手段は地下の光ケーブルを利用した有線通信と高地帯に設置した中継機を活用した無線通信、無電機などだ。今後は自然災害などにも影響されずに、全天候型で音声と映像、文字など、すべての通信が可能になる。
また、通信距離が韓半島を中心に半径6000㌔の領域まで拡大され、西側はマレー半島近隣の世界最大の原油輸送路であるマッカラ海峡、東側には太平洋の日付変更線まで通信電波を届けることができる。軍の指導部は同範囲に派兵された韓国軍や作戦中の海軍艦艇、潜水艦と地上中継所を経ず、リアルタイムでの通信が可能だ。また、衛星を利用した位置追跡なども可能になる。
韓国は7月の高性能探査衛星「アリラン2号」に次ぐ、今回の民・軍共用通信衛星の相次ぐ成功で情報能力を飛躍的アップすることになった。