今年に入り、韓国の対日貿易赤字が増加する一方、対中貿易黒字は減少している。これまで韓国は対日貿易の逆調現象に苦しみながらも、最大交易国である中国から稼いだ貿易黒字で穴埋めする形で全体の貿易収支を管理してきた。だが、このような貿易収支管理に支障が生じる恐れが出てきた。
産業資源部によると、今年1-7月(20日)までの対日輸出は142億4300万㌦、輸入は283億3100万㌦で140億8800万㌦の対日赤字を記録している。赤字規模は、前年同期比5・1%増。このままのペースでいけば、年間対日赤字は255億㌦の過去最大規模に達する見込みだ。
産業資源部では、「慢性的な赤字要因である部品・素材産業では赤字幅が減少したものの、円に対するウォン高の効果で自動車や家電など日本製の耐久財輸入が増加した。その結果、赤字幅が再び増加した」と分析。
一方の対中貿易をみると、対中輸出は359億7200万㌦、輸入は248億9300万㌦で、黒字規模は110億7900万㌦を記録した。これは、前年同期の黒字規模に比べ3・5%減少している。中国は、韓国にとって最大の貿易黒字国だが、黒字幅の縮小は鉄鋼材や石油化学製品のなど原資材の輸入が急増したためだ。
韓国は元来、日本から輸入した資本財を加工して製品化。これを中国に輸出する方式で、貿易を拡大してきた。だが、中国内の主要産業の発展に伴い、韓国製品の輸入に対する必要性が低くなりつつある。これが、近年の貿易黒字減少という形で表れている。半面、国内の部品・素材産業の発展速度は小さく、日本からの資本財輸入はあまり減少していない。特に、円安效果で日本からの耐久財輸入が増大する見込みで、対日貿易赤字構造を変えるのは容易でない。
産業研究院の申鉉秀研究委員は、「対中黒字幅の減少は、中国企業による技術の追撃が早くなっているため」とした上で、「新製品・新技術の開発、生産性の向上など、国内産業との企業競争力を強化しなければならない」と話した。申研究委員はまた、「中国が緊縮政策で成長率の調整に乗り出している点も、今後の輸出拡大に否定的な作用をもたらす可能性が高い」と付け加えた。対中貿易は1000億㌦を超す大きなウェートがあるだけに、対中黒字減少に対する憂慮は大きい。
これに比べ、今年に入ってからの対日赤字拡大は、消費財輸入の増加が大きな要因として作用しており、対日貿易赤字が輸出入金額に占める比重が04年の36・0%をピークに低下しているので、韓国経済に追加の負担は少ないとみられている。だが、頼みの綱の対中黒字を再び拡大勢に転換するのは困難な状況あり、対策が求められている。