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2006/06/23

<総合>ポスコ・中国 蘇州に一貫製鉄所

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          ポスコが蘇州市の張家港に建設した一貫製鉄所

 ポスコが来月、中国・江蘇省蘇州市にある人口95万人規模の港湾都市、張家港に浦項、光陽に次いで3番目の一貫製鉄所を完成させる。年産60万㌧規模のステンレス専用製鉄所だ。ポスコはすでに9年前の97年に当地に工場を建設したが、これまでは韓国で生産された熱延製品を搬入し、最終製品に加工・販売する役割を果たしていたにすぎない。来月からは粗鋼生産から最終製品までを作り出す一貫製鉄所に一大変身する。

 張家港浦項不銹鋼。これがポスコ張家港工場の正式名称だ。川幅が17㌔に達する海のように見える川べりに建てられた長さ1・6㌔の工場は壮観だ。

 この工場の歴史は10年近い。97年、ポスコが持ち株比率84・5%で中国の中堅鉄鋼メーカーと合弁会社を設立し、冷延製品製造設備を備えた工場を建設した。中国の鉄鋼需要が急増し、中国で橋頭保を確保する必要があった。2000年からはここを一貫製鉄所に拡張する計画を進めた。だが、中国鉄鋼メーカーの反対ロビーにあい、やっと2003年9月に中国当局の許可が下り、本格的な投資が始まった。

 一貫製鉄所に変身することによって、粗鋼生産はもちろん、圧延→冷延→加工などを経て完成品まで一カ所で完結できる。ポスコは来月末に稼働するこの工場で年間60万㌧規模のステンレス鋼材を生産する。このうちの40万㌧は、張家港工場で冷延過程を経て最終製品として生産する。残り20万㌧は青島工場で加工し、中国市場に送り出す。

 主要設備は、マンガン、ニッケルなどの原料を荷役する専用ドック、一度に140㌧の原料を溶かすことができる電気炉、粗鋼に炭素を吹きかけて強度を高める製鉄工場、粗鋼を熱い鉄板(スラブ)に成型する連鋳・圧延設備からなる。専用ドックには8万㌧級の船舶が接岸できる。原料から最終製品まですべて中国内でつくる一貫生産体制が整うことになる。

 この設備の完工で、ポスコは宝山製鉄所(100万㌧)などに次ぐ中国内で第3位のステンレス事業者になる。韓国内を含めるとポスコのステンレス用粗鋼生産量は年間260万㌧に達する。これはスペインのアセリノックス(330万㌧)、ドイツのTKS(300万㌧)に次ぐ第3位の規模だ。

 ポスコとしては、この工場が海外に設立した最初の一貫製鉄所であるという点でも意義深い。2010年に完成予定のインド一貫製鉄所と並ぶポスコの2大海外拠点になるとみている。

 ポスコは今回の工場増設に7億2000万㌦を投入した。すでに投資した3億㌦と合わせ10億㌦を超える。中国内外資投資としては最大規模だ。また、この工場は2000を超す中国内鉄鋼メーカー中、唯一外国メーカーにより建設された一貫製鉄所となる見通しだ。中国は昨年、新鉄鋼政策を導入し、今後は一貫製鉄所の建設を許可方針を明らかにしたからだ。