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2006/04/14

<総合>史上最強の韓国造船業・受注残量で1-7位独占

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    大宇造船海洋の海外基地、ルーマニアの大宇マンガリア造船所

 韓国造船業界は今年に入っても海外からの受注が相次ぎ、独走態勢を続けている。世界的な造船・海運市況の分析機関である英国のクラークソンによると、2月末現在の世界各国の造船受注残高を調査した結果、現代重工業が1082万CGT(標準貨物船換算㌧数)を記録、世界1位を記録するなど韓国メーカーが上位7社を独占した。設計・製造能力で競争国の日本や中国を圧倒した結果とみられている。
 
 世界最大の現代重工業に次いで受注残量が多いのは大宇造船海洋で、782万CGT(以下㌧で表記)。3位はサムスン重工業の744万㌧。以下、▽4位=現代尾浦造船(393万㌧)▽5位=現代三湖重工業(327万㌧)6位=STX造船(213万㌧)7位=韓進重工業(210万㌧)の順。8位から10位は日本の造船メーカーが占めている。

 このように韓国の各造船メーカーは数年後までの仕事量を確保している状態で、過去最大の好況を謳歌している。クラークソンの調査でも改めて韓国メーカーの強さが実証された。

 特に、この中でSTX重工業(旧双龍重工業)と韓進重工業が2月の受注好調で、不動の6位だった三菱重工業(209万㌧)を追い抜いたのが目立った。

 中でもSTX重工業の躍進は特記に値し、2月にはロシアから5万㌧DW㌧級中型石油化学運搬船5隻を2億7000万㌦で受注している。

 同社は世界8位のランクだったが、昨年下半期からLNG(液化天然ガス)運搬船、自動車運搬船など高付加価値船の受注が相次ぎ、三菱重工業ばかりか、国内の競合メーカー韓進重工業をわずかの差で抜いて一気に6位に浮上した。しかも現在、100万平方㍍規模の敷地を拡張する一方、陸上建造工法などを導入し、中型船舶中心の設備を大型船舶建造が可能な設備に変える方針だ。これで15万㌧級以上の大型タンカー市場にも乗り出し、現代、大宇、サムスンのビッグ3と競う勢いだ。

 陸上建造工法はすでに世界最大の現代重工業が採用している。9つのドックが足りないほど受注が殺到したため編み出した奇抜なアイデアだった。陸上建造のため、重さ700万㌧まで持ち上げられる世界最大の1500㌧級クレーンをスウェーデンから導入したり、陸上から海に移動するため船舶の下にスキッドレールを取り付けるなど様々の工夫を重ねた。空気浮揚方式を採用して、大型船舶の陸上建造を可能にした。

 韓国造船業界は昨年、受注実績1位(1450万㌧で世界シェアの38%)、受注残量1位(3970万㌧でシェア38%)、建造実績1位(970万㌧でシェア36%)を記録、ライバルの日本、中国を大きく引き離して造船3冠王に輝いた。

 造船王国・韓国の悩みは、増え続ける受注をこなすための設備拡張と人材確保だ。陸上工法や造船所の海外移転だけでなく、新機軸を模索中だ。