サムスン電子が世界最初に開発した携帯インターネット「ワイブロ」の商用サービスが、来年初めからイタリアの主要都市で開始される。冬季オリンピックが開かれているトリノで、サムスン電子の李基泰・情報通信総括社長とイタリア最大の通信会社であるTI(テレコムイタリア)のルカルド・ルキエーロ会長が共同記者会見を開き発表した。
今回の商用化計画発表は、ルキエーロ会長がトリノで10日から始まったサムスン電子のワイブロ試演会で直接体験した後、電撃的に行われた。すでに昨年末に両社はワイブロの包括的提携で合意しているが、ルキエーロ会長が実際に「ワイブロ」の威力を肌で感じて、最終的に商用化計画にゴーサインを出したと伝えられている。
サムスン電子関係者は、「テレコムイタリアは有線加入者2540万人、無線加入者2730万人に達するイタリア最大の通信事業者だ」とし、「ローマ、ミラノ、ジェノバ、トリノ、ナポリの5大都市でまず商用化サービスが提供される」と明らかにした。
イタリアはすでにEU(欧州連合)関係機関から2・5ギガヘルツ帯域をワイブロ用周波数として割り当てられており、ワイブロ試演会でこの周波数帯域を使用して放送、画像通話、ウェブサイト検索などのサービスが提供されている。
サムスン電子はトリノ五輪が終わる26日までワイブロ試演車両を運行、特に欧州各国にワイブロをアピールしたい考えだ。運行区間はサムスンオリンピック広報館があるトリノ市内のフィアッツァソルフェリーノ広場からインキルテラ地域までの4㌔。走る車内で、ソウルの漢陽大学を結んだ画像通話も楽しめる。
説明嬢たちは、「ワイブロで放送、画像通話、インターネットを同時にできるトリプルプレーサービスです」とPR。ノートブック画面の右側が4分割され、4人の顔が現れ、「ソウルは春のような陽気です」との音声が流れた。12人まで同時に画像通話が可能という優れものだ。
海外でワイブロの商用サービスを開始するのは、ブラジルの通信会社TVAとベネズエラのオムニビジョンに次いで3カ国目。日本のKDDI、米国のスプリントネクステル、英国のブリティッシュテレコムにもワイブロ装置と端末機を供給する計画。また交渉中も10社を超える。
ワイブロは、サムスン電子が中心になって韓国電子通信研究院と共同開発した技術で、高速で移動しながら、鮮明な画像を保持したまま超高速インターネットを使用できる次世代移動通信体技術。この技術は昨年末、移動型インターネットの世界標準として認定されており、世界各国に拡散すると期待している。
韓国ではKTとSTテレコムが6月ごろに世界最初に商用サービスを開始する。海外でもブラジル、ベネズエラが5、6月頃に試験サービスを実施、年内開始を計画している。米国のクァルコム社もワイブロと似たOFDM方式の技術を開発しているが、ワイブロが圧倒的に先行している。
◆ワイブロとは
Wireless Broadband(ワイヤレスブロードバンド)の略。2・3-2・5ギガヘルツ帯の周波数を使用する高速無線インターネットのこと。周波数間の干渉を最小化し、移動中の車の中でも映画やニュースなど大容量データ電送を可能にした技術。情報通信部が、呼びやすくするため「ワイブロ」と命名した。