起亜自動車の中国第工場が江蘇州の鹽城市に完成、本格的な生産に入った。年産30万台規模で、第1工場と合わせて年産43万台体制を誇る。また、年産30万台規模の現代自動車の中国第2工場が北京で完成する予定であり、現代・起亜自動車グループの中国での生産能力は年間103万台に増強され、来年からの北京オリンピック、2010年上海世界博覧会に向けて欧米日との本格的な市場争奪戦が展開されそうだ。
上海から北へ車で5時間。エンジョウ市の敷地147万平方㍍に建て坪27万平方平方㍍規模で建設された起亜自動車の第2工場は、1ラインで多車種を生産できる最新鋭設備を誇る。従業員1400人で、203台のロボットが組み立てラインの主役。すでに昨年10月から中国消費者の嗜好に併せた乗用車「セラト」の生産を開始。
現在の生産台数は1日400台だが、2009年9月には時間当たり66台生産が可能という。今後、1000ccのリッターカーと小型CUV(クロスオーバーユーティリティー)を生産し、中国市場を開拓する計画だ。
このほど行われた完工式には、現代・起亜自動車グループの鄭夢九会長をはじめ、梁保華・江蘇省書記ら関係者700余人が参加した。中国政府は、工場敷地の優待条件付き提供、法人税など各種税金減免、車両輸送のためのインフラ整備などで協力した。
中国政府は自国の自動車産業を保護するため、外国メーカーの100%出資による現地生産を認めていない。現地メーカーとの50対50の合弁投資形態をとっている。起亜自動車の第2工場も中国の提携先との合弁で8億㌦を投資して2005年10月に着工した。敷地は、第1工場から東南へ3・5㌔の隣接地が選ばれた。
鄭会長は完工式で、「起亜自動車は困難を克服し、再跳躍すれば中国で最も模範的で成功した企業になるだろう」と述べた。これは、急成長してきた現代自動車と起亜自動車の中国での販売が足踏みしている現状を踏まえ、中国市場の再開拓に乗り出す決意を示したものだ。
起亜自は1997年、現代自は2002年に中国に進出した。年々中国でシェアを拡大してきたが、今年は厳しいグローバル競争に直面、生産台数を落としている(11月末現在で現代自20万7025台、起亜自8万9712台)。第2工場完成を契機に巻き返しを図ることになる。
年産103万台の第1工場はプライド、スポティージ、カーニバルなどを生産、2009年までに生産能力を増強、14万台に増やす。
一方の現代自動車も来年4月には北京に第2工場を完成、年産能力を計60万㌧に拡大する。第1工場でのソナタ、エラントラ、トゥーサンなどに続いて、第2工場では中国型に開発した「アバンテ」などを投入する計画だ。
中国市場で100万台生産体制を確立する現代自・起亜自動車グループの挑戦は、中国市場でしのぎを削っている世界自動車業界の大きな関心でもある。