ここから本文です

2007/12/21

<総合>第17代大統領に李明博氏

  • sogo_071221.jpg

              支持者に応える李明博氏㊧と金潤玉夫人

 第17代大統領に野党・ハンナラ党の李明博候補(66)が選ばれた。得票総数1149万票(得票率48・7%)、2位の与党・大統合民主新党の鄭東泳候補にダブルスコア近い531万票の大差をつける圧勝だった。野党陣営による10年ぶりの政権奪還となる。今回の選挙戦の最大の争点は経済。国民は、財閥系大企業のCEO(最高経営責任者)、ソウル市長を経た「サラリーマン神話」の主人公に「経済再生」を託すことを選択した。また、金大中・盧武鉉政権と10年間続いた「太陽政策」は、部分的な手直しはあっても大枠の基調は変わらない見通しだ。

 投票は19日、全国249開票区(1万3178の投票所)で一斉に行われた。午後6時の締め切りと同時に開票が始まり、1時間後のKBS出口調査で李明候補が50・3%の支持を得、2時間後の午後8時前に早々と勝利宣言。支持者を前に「危機に立つ経済を必ずや再生させ、分裂した社会の和解、国民の統合を必ず実現させる」と強調した。

 100%開票結果、李明博候補が1100万票を超える48・7%を占め、2位鄭東泳候補、3位李会昌候補を合わせた9700万票を足しても及ばなかった。これほどの大差となったのは、過去の大統領選挙で初めて。しかし、投票率は史上最低の63・0%を記録した。1997年の80・7%、前回の2002年の70・8%を大きく下回る。ネガティブキャンペーンに嫌気をさした有権者が少なくなかったとみられる。

 株価操作をした投資諮問会社BBK事件への介入疑惑と関連、「犯罪の被疑者を大統領を選ぶ国はどこにもない」と李明博候補の道徳性が問題になった。だが、社会の格差拡大、若者の就職難など厳しい経済環境を背景に、「私が当選したら経済のムードは変わる。国民所得を2万㌦から4万㌦に引き上げる」とした李明博候補の訴えが通った。

 今回の大統領選挙で「北風」が吹かなかったのには理由がある。南北対話路線が10年続いており、北朝鮮核問題も解決に向かっている。国民も「南北問題に当面の大きな心配はない」と受け止めた結果、ほとんど争点にならなかった。

 「CEO大統領」李明博氏の特徴は、「脱イデオロギーの実用主義者」といわれる。保守陣営に属するが、いわゆる理念的保守主義者ではない。北朝鮮が6カ国協議の合意を守り、核放棄をすすめれば、実利主義者の立場から逆に思い切った対北経済支援を行う可能性すら指摘されている。

 対日関係においても、脱イデオロギーの考えが影響しそうだ。「未来志向的に進むだろう」と関係改善に意欲的だ。