韓米両国は、韓米FTA(自由貿易協定)協定文に正式に調印した。金鉉宗・通商交渉本部長と米通商代表部(USTR)のスーザン・シュワブ代表はワシントンで30日調印式を行い、昨年2月から続けてきた両国政府の交渉を締めくくった。これを受け、韓米はFTA発効に向け両国議会で批准同意を得るための手続きに着手することになるが、特に米議会の抵抗が予想され、批准までに1年から1年半かかるとの見方もある。
グティエレス米商務長官は調印式で、「韓米FTAは米国がここ15年間で締結した貿易協定の中で最も商業的に意味のある協定」と評価し、米政府は議会ができるだけ早く韓米FTAによる米国の利益を確信できるよう協力すると述べた。シュワブ代表は、米議会が大統領に付与した貿易促進期限(TPA)満了前に締結された最後のFTAだとしながら「きょうは世界貿易にとっても偉大な日」と評価した。
金鉉宗本部長も、韓米FTAは太平洋を挟んだ韓米に同等の利益をもたらすとしながら、韓国製商品の米市場へのアプローチを拡大すると意欲を示した。
韓米FTAが両国議会の批准同意を経て正式に発効される場合、巨大な米市場でのシェアが一層拡大すると予想され、消費者はより低価格で米国製商品を購入できるようになるなど、市場開放時代の新たな幕を開くものと期待される。その一方で、市場の開放により一部農業分野への影響は避けられないほか、医療や教育などサービス市場では十分な議論が行われておらず、非関税障壁や原産地規定なども成果が不十分だとの指摘も上がっている。
金ジョンフン首席代表は、これまでの追加交渉について自動車、牛肉、コメ問題に関連して交わした文案などは1つもないと説明した。
盧大統領は、貿易・輸出への依存が大きい韓国が市場開放に乗り出さなければ、韓国は限界に突き当たり萎縮すると述べ、「開放すればすべてが成功すると信じている」と強調した。その上で、「FTAは韓国にとって新たな機会、跳躍する機会」だと主張した。
ブッシュ米大統領は、韓米FTAを大いに歓迎するとの声明を発表。韓米FTAは米国の農業従事者、牧場主、製造業、サービス供給者の輸出機会を創出し、経済成長と米国内雇用創出を促進するとともに、米国消費者にも選択の機会を増やすことになると強調した。
またこの声明でブッシュ大統領は、韓国の米国ビザ免除プログラム(VWP)適用を積極的に検討すると述べた。
これを受け、韓国では早ければ来年にも、90日以内短期滞在者の商用・観光ビザが免除されるものと期待している。
今回の韓米FTA交渉過程では、4月2日の韓米FTA妥結後に米側の要請を受けて、6月21日から異例の追加交渉が行われた。労働、環境、医薬品など7分野についてソウル、ワシントンで追加交渉を行った結果、署名日前日に妥結。
協定文は1000㌻を超す。今回の追加交渉は、当初妥結内容の大枠を崩すものではなく、部分的なものだ。例えば、労働・環境分野で貿易報復などが可能な一般紛争解決手続きを導入することになった。
盧武鉉大統領とブッシュ大統領は1日、電話会談を行い、FTA署名に歓迎の意を表明し、両国の議会で速やかに協定が批准されるよう努力していくことで一致した。