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2007/10/19

<総合>大統領選あと2カ月・経済問題が最大争点に浮上

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                 鄭東泳候補(左)李明博候補(右)

 主な大統領候補が出揃い、2カ月後に迫った12月19日の投開票に向けて第17代韓国大統領選挙が事実上のスタートを切った。世論調査で50%以上の支持を得て独走を続ける李明博・野党ハンナラ党候補(イ・ミョンバク、65)に対して、与党・大統合民主新党の公認候補に選出された鄭東泳氏(チョン・ドンヨン、54)が追う展開を見せているが、「一寸先は霧」の韓国の大統領選挙。すでに鄭候補と中道統合民主党公認の李仁済候補(イ・インジェ、58)、創造韓国党を旗揚げした前柳韓キンバリー社長の文国現候補(ムン・クッヒョン、58)を中心に汎与党勢力の候補一本化が本格化するとの観測が流れている。今回の大統領選挙の争点は、経済、南北問題への対処などがあるが、成長・効率重視の李候補と分配・均衡重視の鄭候補の経済観の違いが浮き彫りになっており、経済問題が大きな争点に浮上している。

 16日の各種世論調査によると、李明博候補が46-56%の高い支持率を得ているが、15日の党内選で孫鶴圭、李ヘチャンの両氏に勝利した鄭東永候補の支持率も急上昇。これまでの倍近い14-20%を獲得した。

 また、汎与党勢力の候補一本化の対象とさる民主党の李仁済候補が5%前後の支持を得ており、来月に中央党を発足させる創造韓国党の文国現候補は支持率最大6・4%に達し、大統領選挙のダークホース的存在になっている。政界では、両候補が鄭候補と手を結べば30%台にはね上がると見ている。このほかに、民主労働党の権永吉候補も2・7%から5・2%の支持を得ており、新たに李寿成・元総理も立候補を宣言した。

 今後、韓国は李・鄭両候補を軸に大統領選挙政局に突入していくが、国民の大統領選挙への関心は高く、最近の世論調査では89・8%が「投票する」と答えている。そこで大事なのは、国民の選択肢がどのように提示されるかだ。

 まず、南北問題。先の南北頂上会談に対して韓国国民の50-70%が「成果があった」と評価、盧武鉉大統領の支持率は急上昇、現在も43・2%(中央日報調査)と高い。鄭候補は金大中・盧武鉉の前・元大統領の継承者を任じ、南北頂上会談の成果を土台に韓半島平和協定時代をリードしていくと強調、来年6月までに第3回南北頂上会談を済州道で開くことを提案している。一方のハンナラ党は、すでに対決型だった対北挑戦対策を転換しているが、李候補も第3回南北頂上会談の済州道開催の可能性を示唆するなど、南北問題への取り組みに前向きにならざるを得ず、真っ正面からの争点化は避けたいもようだ。

 そこで急浮上しているのが経済問題。李候補はすでに経済公約として7%成長、4万㌦所得、7大大国入りをめざす「747ビジョン」を掲げ、成長優先を鮮明化。「経済発展でみんなが豊に暮らせる国民成功時代をつくる」とCEO大統領らしいスローガンを掲げた。

 これに対して、鄭候補は15日の大統領候補当選所感で「7%成長と言っているだけで、誰のための、何のための経済か」と批判。「上位20位のための弱肉強食の経済を止揚し、残り80%も豊かに暮らせる温かい資本主義と福祉国家を実現する」と訴えた。

 より具体的にみると、李候補は政府の各種規制を緩和、民間活力を生かすため、財閥への投資規制や財閥の金融業規制を緩和させることを提示。また税制面で、法人税の最高税率を現在の25%から5ポイント程度引き下げ、勤労所得税の控除拡大する代わり、国家予算10%引き下げることを考えている。李候補の経済政策の特徴は、市場原理を生かした小さな政府志向型だといえよう。

 これに対して、鄭候補は「既得権者から脅威を受けている市場秩序を守るため、政府が公正な審判官の役割を果たさなければならない」と主張。中産・庶民層と中小企業のためのスエーデン型福祉国家をめざすとしている。そのため、減税はせず、大きな政府を志向することになる。

 経済政策を見る限り、対立軸がはっきりしている。今回の大統領選で問われるのは勧告の進むべき道だ。今後5年間、国政を担うのに相応しいリーダーは誰なのか。水準の高い選挙になるよう、徹底的に政策論を闘わせるべきだろう。