政府は、米国、EU(欧州連合)に続いて中南米とのFTA(自由貿易協定)締結を推進している。権五奎・副総理兼財政経済部長官は17日、ソウル市内のホテルで開かれた「第1回韓国・中南米貿易投資フォーラム」で基調演説を行い、中南米諸国とFTA交渉を進めると表明した。中南米は石油・天然ガス、鉄鉱石、銅などの「資源宝庫」であり、FTAが締結されれば相乗効果が大きいと期待される。
韓国と中南米諸国とのFTAは現在唯一、チリとだけ結んでいる。2004年発効後、両国間の貿易は3倍増となるなど大きな成果をあげている。また、過去5年間に韓国の対中南米輸出は年平均16%、直接投資は38%増加し、韓国企業の進出も活発化している。電子製品や自動車など工業製品で競争力のある韓国と、資源が豊富な中南米の経済が結合すれば相乗効果は大きい。
権副総理は、このような現状を踏まえ、現在メキシコとのFTA交渉の準備に入っており、メルコスール(南米南部共同市場)とのFTA共同研究が完了したと明らかにした。メルコスールにはアルゼンチン、ブラジル、パラグアイ、ウルグアイ、ベネズエラの南米5カ国が加盟しており、チリ、ボリビアなども準加盟国だ。
権副総理はまた、「中南米諸国が韓国の協力を得て、IT(情報技術)・インフラを拡充すれば地理的・社会的統合が促され、一般国民の経済活動参加も高まり、貧富の格差解消や持続可能な経済成長に効果をもたらす」と強調。特に、「韓国はアジアの物流・ビジネスハブに生まれ変わりつつあるので、中南米の企業がアジア進出拠点都市として活用するにふさわしい」とアピールした。
このフォーラムは、中南米諸国の要望もあって実現した。成長著しいアジア地域との経済関係強化が重要だとの判断がある。中南米地域ではIMF(国際通貨基金)や世界銀行より役割が大きいIDB(米州開発銀行)のルイス・アルベルト・モレノ総裁をはじめ、メキシコの石油・天然ガスの探査・生産・販売を独占しているペメックスなど有力企業首脳陣が200人以上訪れた。
モレノ総裁は、「1950年代当時、コロンビアの生活水準は韓国の2倍、アルゼンチンは5倍、ベネズエラは8倍だった。だが半世紀で状況は逆転し、韓国がアルゼンチンやベネズエラの2倍、コロンビアの3倍の所得を実現した」と述べた。
中南米の最大の魅力は資源。原油は全世界埋蔵量1兆2000億バレルの10%、生産量は13%を占めている。確認された天然ガス埋蔵量も全世界の4・1%を占める。特に、鉄鋼産業に欠かせない鉄鉱石は、全世界埋蔵量の9・2%を占め、生産量では23%を誇っている。銅に至っては埋蔵量は世界の半分、亜鉛は11%を占めている。
韓国企業としては、韓国石油公社、大宇、SK、ポスコなどがペルーの石油開発やブラジルの鉄鉱石開発に投資している。中南米諸国は2002年の経済危機から平均5%台の成長軌道を続けるまで回復しており、今回訪韓した有力企業首脳陣と韓国企業との商談も注目される。