“人工太陽”とも呼ばれる核融合研究装置「ケースター(KSTAR)」が1995年の開発開始から12年ぶりに完成した。14日、盧武鉉大統領らが参列する中、大田市・大徳研究団地のKSTAR特殊実験棟で完工式が開かれる。この研究装置は、高さ8㍍、直径9㍍、重さ120㌧の国内最大の超真空容器である。研究陣は、今後短期間で装置内に太陽の表面より熱いセ氏1億度の状態をつくり出し、核融合発電の実験を行う。さらに設備を補完して2億、3億度を実現、人類初の「太陽エネルギー」を作り出したいとしている。
基礎科学研究院の核融合研究所が中心となって今回完成したKSTAR(Korea Superconducting Tokamak Advanceed Research)は、実験設備としては世界6番目だが、世界で初めて絶対温度零下269度を保つ超伝導磁石を使って開発した最先進核融合研究装置だ。超伝導装置を磁石をつくるため特殊素材を使用。韓国独自技術で製作、核融合に欠かせない最高水準のプラズマ発生も可能だと注目されている。
韓国を含む世界7カ国・地域で進めている国際核融合実験炉(ITER)の縮小版である。2015年に完成予定のITERは、KSTARの25倍の大きさ。総建設費は約100億㌦以上。
政府は、この装置完成のため、12年間にわたって3090億ウォンを投入した。今後、核融合発電に必要な多様な実験を繰り返し、来年後半に初のプラズマを発生させ、09年に超伝導核融合反応の実験を行う予定だ。
実験結果は、ITER建設・運営にも提供される。ITERプロジェクトの成功いかんに大きな影響を及ぼすことになりそうだ。
科学技術部は、2021年まで核融合エネルギー技術5大強国に進入することを目標に研究・実験を進め、2040年代に韓国型核融合発電所を建設し、発電の主力に育成する計画だ。
だが、核融合発電に至までには、解決すべき技術的難題が多い。例えば、トカマク内のプラズマ温度。地球上で核融合を起こすためには1億度以上の温度を維持しなければならない。現在は、瞬間的に数千度を創り出している程度だ。
核融合研究センターの申載仁所長は、「地球温暖化問題が深刻化しており、2050年頃になれば化石燃料の採掘も限界になる。発電単価が安いクリーンエネルギーである核融合技術を確保することは国家の命運を左右する」と語った。原料は重水素(二重水素)とトリチウム(三重水素)。重水素は海水から無尽蔵に取り出せる。トリチウムは天然には存在せず人工的につくるが、その原料となるリチウムの可採埋蔵量は数百年とされている。
人類は、50年前に火を発見し、「新たな火で」ある原子力を持つに至ったが、いまや「未来の火」である核融合に挑戦、「人工太陽」誕生への一歩を記すことになった。