世界最大の潮力発電所が韓国西海岸に建設されることになった。最適地に選定されたのは、忠清南道・泰安郡の加露林湾で、西部発電とポスコ建設、大宇建設、ロッテ建設など事業者はこのほど株主間協約式をもち、来年から本格的に着手することを決めた。計画によると、発電設備容量は520メガ㍗で、完成すれば現在世界最大の潮力発電所であるフランスのランス発電所の2倍の発電力をもつことになる。
韓国の西海岸は潮力発電に適した干満の差が大きく、30年以上前から妥当性調査が行われてきた。加露林湾も有力候補地に何度もあげられてきたが、具体的には進展をみなかった。建設費に莫大な費用がかかり、環境問題への影響もあるからだ。だが、原油価格の高騰などでクリーンエネルギーである潮力発電所が見直され、今回の建設推進となった。
工事は来年から5カ年計画で推進する計画だ。忠南・泰安郡梨園面内里から瑞山市大山邑吾池里の間に2㌔の防潮堤を築き、干満の水位差を利用して発電機を回す潮力発電所を建設する。2012年の完工時までの総予算は1兆ウォンを予定。
韓国の西海岸は有力な潮力発電所候補地は数多くあり、原子力発電所14基分の電力を生産する潜在力があるとされている。加露林湾の場合、すでに70年代から潮力発電の可能性に関する妥当成長差が行われ、80年代には最有力候補地に選定され、フランスと英国の技術陣が精密調査を実施、基本設計までつくられた経緯がある。
やっと、事業者も決まり、来年から本格着手の見通しとなったが、瑞山市は政府と事業者が工事に入れば、工事中止の仮処分申請を出すと反対の立場をとっている。既に当局に対して事業の白紙化を主張する意見書を提出済みだ。反対理由について、「加露林湾に防潮堤を築けば海水交換率が低くなり、生態環境と魚族資源に被害が予想される」と主張している。
これに対して、西部発電関係者は、「加露林湾潮力発電所は、二酸化炭素を全く排出せず、火力発電所に匹敵する電力を生産するクリーンエネルギー源だ」と述べ、反対運動が起こっている住民の説得に当たるとしている。今後、環境論争の帰趨によっては、事業推進に少なからず影響も予想される。