韓国とEU(欧州連合)間のFTA(自由貿易協定)締結のための初交渉が7日からソウルの新羅ホテルで始まった。11日まで、①商品(農産物含む)②サービス・投資③その他の規範(政府調達、知的財産権、競争政策)④紛争解決、持続可能な開発(総則、労働、環境など)の4分科会に分かれて交渉を進めるが、3日目の交渉で工業製品の関税をFTA発効10年以内にすべて撤廃、商品の譲許(開放)案は6月末に交換することで合意することで合意した。韓米FTA交渉に比べ、農業などの厳しい争点がないので、目標の1年を繰り上げ、年内妥結の可能性もある。
EUとの今回のFTA交渉は、最大300人以上が参加した韓米FTAと違い、少数精鋭で効率を期した形になった。EU側参加は、EU執行委通商総局のイグナシア・ガルシア・ベルセロ東アジア局長を首席代表とする20余人、韓国側は外交通商部の金漢秀・通商交渉本部FTA推進団長を首席代表とする60余人。当初120人ほどの人員を配置した韓国側は、EU側に合わせて半減した。交渉3日目となる9日、韓国とEUの交渉団は商品分野での大枠を決めた。特に商品全体の関税撤廃水準を金額と品目ベースいずれも95%以上とすることについて、金代表は、「このレベルは、これまでに韓国が結んだFTAと比べても無理がない」と説明し、「当初予想以上に建設的な議論があった」と述べた。
商品の関税譲許方式は、即時撤廃と3年以内の撤廃、5年以内の撤廃とし、敏感な品目については撤廃期間を別途に設けることで意見がまとまった。農産物に対しては、EUは例外ない自由化を要求することはないとの姿勢をみせた。だが、競争力の高い酪農製品や鶏肉・豚肉、チーズ、ワインなどの早期関税撤廃を求めている。
また、衛生・検疫分野でも牛海綿状脳症(BSE)問題などの懸案は交渉とは分離するという原則に合意した。
一方、サービス・投資分野では、EUが通信・郵便宅配問題に高い関心を示しており、今後の交渉はたやすくないと予想させた。また、韓国側は大学など教育分野の開放を迫ってくると警戒している。
今回の韓国・EU間FTA交渉開始を宣言した金鉉宗通商交渉本部長とピーター・マンデルソンEU通商担当執行委員は、「EUとのFTAは韓国が欧州―東アジア―米国をつなぐ東アジアのハブ(拠点)として浮上する確実な契機になる」「EUが東アジア経済圏に関心を注いでいることを示すきっかけになる」と、共に大きな期待を寄せた。