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2007/03/23

<総合>購買力示す実質GNI、昨年2・3%成長

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 国民の購買力水準を表す実質GNI(国民総所得)が昨年、国際原油価格上昇やウォン高などによる交易条件悪化の影響を受け、前年比2・3%の増加にとどまった。韓国銀行が21日に発表した「2006年国民計定(暫定)」によると、昨年の実質GNI成長率は前年の0・7%よりは高かったが、実質GDP(国内総生産)成長率5・0%を大幅に下回った。1995年にGDP成長率が9・2%、GNI成長率が9・5%を記録したのを最後に、GNI成長率は11年連続でGDP成長率を下回っている。みかけの成長に比べ、国民が手に入れる実質所得が少ないことを示している。
 
 実質GNIは、物価などを考慮した国民所得の実質購買力を表わす数値。これがGDP成長率を大きく下回る状況は、経済規模が拡大しているにもかかわらず、国民の実際の所得増加が伴っていないことを示している。それが11年連続でGDP成長率を下回っていることを深刻に受け止め、「所得が海外に逃げている」と指摘する声もある。

 では、なぜ実質GDPとの乖離が長期間続いているのか。韓国の交易条件が継続悪化しているからだ。特に、IT(情報技術)関連業種が経済全体に占めるウエートが高いので、輸出価格が持続的に下落する一方、輸入に依存している原油など原資材価格が上昇を続けている。加えて、この数年はウォン高が加速化し、交易条件悪化に拍車がかかった。昨年はその典型だった。

 昨年は実質GDP基準で5%成長を記録したが、体感景気はそれに及んでいないのも、実質購買力を表す実質GNI成長率はその半分以下2・3%にすぎないからだ。半導体をはじめ、自動車、携帯電話、船舶など韓国経済を支える主要輸出品は海外市場で厳しい競争にさらされており、輸出価格は下落する一方だが、逆に原油価格は暴騰、輸入物価にはね返った。

 実際、交易条件悪化による実質貿易損失は68兆ウォンに達し、05年の46兆ウォンをさらに上回る史上最高を記録した。このような構造ゆえに、「いくら輸出しても、空っぽの成長でしかない。韓国に入るべきお金を海外に流れないようにできないのか」という声が当然起こってくる。

 韓銀では、「今年は原油価格が安定し、半導体価格下落幅が大きくならない見通しであり、GDPとDNIの乖離は昨年より狭まるだろう」と見ているが、根本的対策を講じる必要性がありそうだ。

 一方、昨年の名目GDPは847兆9000億ウォンで、前年比4・6%増加した。ドル基準では、ウォン高の影響で前年比12・1%増の8874億㌦を記録。1人当たりGNIは前年比11・9%増の1万8372㌦で、2万㌦時代が目前になっている。韓銀関係者は、「年平均為替レートが1㌦=930ウォン台であれば、2万㌦時代は遠くない」と語った。

 また、総貯蓄率は民間貯蓄率が下落したため、前年を下回る31・4%にとどまった。国内総投資率も前年より低い29・9%。貯蓄が減り投資も減るという奇現象だ。

◆GNI◆

 Gross National Income(国民総所得)の略。国の豊かさを測る経済指標で、国内外から1年間に得た所得の合計を指す。

 従来はGNP(国民総生産)と呼ばれていた。生産より所得の概念で捉える方が正確なことから、国連の1993年の「国民経済計算」の勧告により各国で採用。GNPとの違いは、交易条件(輸出物価と輸入物価の差)の変化による求められる交易利得を反映している点だ。韓国では韓国銀行が統計データとして正式にGNIを採用。

 現在、経済成長の指標として広く用いられているGDP(国内総生産)は、国内で生産される付加価値の合計だが、GNIはGDPに海外からの投資収益や企業所得、雇用者報酬などの純所得と交易利得を加えている。

 GNI指標が注目されるのは、GDPとGNIの乖離が近年拡大しているためだ。日本は対外債権国であるため、海外からの所得が大きくなっている。また、フィリピンも出稼ぎ送金が大きいため、GNI成長率がGDP成長率を大きく上回っている。

 これに比べ、韓国は交易条件の悪化などで毎年、GNI成長率がGDP成長率を下回っており、実質購買力は盛り上がっていない。