現代自動車が海外生産体制を拡大強化している。年内にチェコ工場の着工が予定されており、傘下の起亜自動車もスロバキア工場着工を準備している。また、ブラジルではエンジンなどの部品と技術を提供し、現地企業がKD(現地組み立て生産)方式の自動車工場建設が進められている。そうした中、クライスラー買収戦に現代自動車も参戦したとの報道がなされた。現代自側は否定しているが、海外で現代自動車のブランド力は相当な水準にあるようだ。
関連業界によると、ブラジル最大の自動車販売代理店「カオア」は、総額2億5000万㌦を投入して、上半期(1-6月)稼働を目標に年産5万台規模の自動車生産工場を建設している。場所はブラジリアから南に車で2時間ほどかかるゴイアス州のアナポリスの農業団地。用地500万平方㍍を確保、組立工場、塗装工場など4つの建物を建設中だ。
この自動車生産会社の名称は「現代アオア自動車」になる予定。生産される自動車は「現代」のブランドがつけられる。現代自側は製造技術やエンジン、ギアなどの部品を提供し、ロイヤルティーを受けることになっている。初期には現在韓国から輸入している小型トラック「HR」(韓国名リベロ)を優先的に生産し、2009年までに車種を拡大、SUV(多目的スポーツ車)も生産する計画だ。
韓国自動車がブラジルで現地生産されるのはこれがはじめてであり、南米進出の拠点になりそうだ。
現代・起亜自動車グループの鄭夢九会長が21日、インド第2工場建設現場点検のため出国した。今回のインド訪問では、下半期(7-12月)に完工する年産30万台規模のインド第2工場建設現場を直接点検する。
現代自関係者は、インド市場のスピード成長を念頭に置いているためだと話した。
鄭会長は不正蓄財や会社資金横領などの容疑で実刑判決が言い渡された状態だが、裁判所の承認があれば海外出張も可能だ。
また、日程は確定していないものの、起亜自のスロバキア工場完工式、現代自のチェコ工場着工式が予定されていることから、鄭会長が出席し欧州市場のてこ入れに乗り出す可能性もある。
旧正月の連休中、英国の日刊紙ザ・タイムズが現代自動車のクライスラー買収参加説を報じ、波紋を呼んでいる。同紙は19日付で、「最近経営不振で売却説が絶えないダイムラークライスラー北米部門のクライスラー買収の有力候補に、韓国の現代自動車が浮上した」と報じた。
同紙によると、クライスラーの米市場販売網を活用しシェアを拡大するため、現代自はクライスラーの買収を前向きに検討しているとのことだ。また、「英MGローバーを買収した上海汽車や奇瑞汽車など、海外市場進出に積極的な中国の自動車メーカーも、クライスラー買収に参加する動きを見せている」と指摘。
この報道に対して、現代自動車幹部は「クライスラーを買収する余力もなく、関心もない」と一蹴した。「内需と輸出市場で苦戦する状況で、100億㌦も払ってクライスラーを買収するメリットがあるのか」と述べた。
真偽はともかく、現代自動車のブランド力が海外では高いことを示す話だ。