盧武鉉大統領は23日、「盧武鉉政権4年の評価と21世紀の国家発展戦略」と題する新年特別演説を行い、在任4年間の政策を評価するとともに、残り任期の国政運営方向を明らかにした。演説の模様は夜10時からテレビで生中継された。この演説で盧大統領は、先進国の基準となる国民所得3万㌦達成のための新たな戦略が必要だと強調した。また、「南北頂上会談の開催は6カ国協議で何らかの結論が出るまでは実現が難しい」との立場を明らかにする一方で、「扉は常に開かれている」と述べた。これは、6カ国協議で解決の糸口を見い出せば、南北頂上会談実現の可能性を示唆したものだと分析されている。
盧大統領は、「韓国では早ければ今年中に、国民所得が1人当たり2万㌦の時代になる。これからは3万㌦時代に向かうが、そのためには相応の戦略が必要だ。変化する時代に合った新しい戦略でなければならない。福祉財政が先進国の平均に著しく及ばず、法・秩序の順守、社会的資本の指標も低い水準にとどまっている。また、両極化、急速に進む少子・高齢化社会、南北の対決状況、東北アジア秩序の不安定などの強力な不安要素がある」として、「これらを克服し、先進国になるための国家発展戦略は、民主主義と市場経済、革新、能動的開放、成長と分配、均衡発展、社会投資、社会的資本、東北アジアの平和だ」と強調した。
盧大統領は、在任中の経済実績について「2003年の就任以来、4年間の年平均成長率は4・2%で、OECD(経済協力開発機構)加盟30カ国中7位」と述べ、成長率が低いという批判は当たらないと反論した。だが、大統領当選当時、「年7%成長を成し遂げる」とした公約は守れなかった。
また、「技術革新政策はうまくいっている。スイス国際経営開発研究所(IMD)は韓国の技術競争力を2003年の27位から昨年は6位へと評価をあげた」と述べた。だが、IMDは昨年、韓国の全体的な競争力を125カ国中24位と評価、前年の19位よりランクを落とした。「政府をはじめとする公共部門の非効率性が国家競争力を下げている」というのが主な理由だ。
このように、やや一面的な評価が目立った。不動産問題で、「個人はもちろん企業の競争力にも重要な問題であり、一気に解決できず混乱させ申し訳ない」と述べながら、「不動産投機抑制策はすべて講じられ、これ以上不動産投機で利益を得ることはできないようになった」という説明も楽観的すぎると受け止められている。
第7回交渉が行われる韓米自由貿易協定(FTA)については、「良い結果が出ることを期待する」と述べ、「開放を反対しては世界の歴史の大勢から取り残される」と早期妥結の決意をみなぎらせた。また、中国とFTA締結に向けた共同研究をはじめ、3月には欧州連合(EU)との交渉に着手する計画だと明らかにした。農業分野には199兆ウォンを投じる破格的な対策を準備中と述べた。
懸案の民生問題については、「二極化やグローバル化、情報化などが絡み合い、問題解決は複雑になっている」として、「経済だけが良くなっても民生問題すべてが解決するという単純なことではない」という考えを示した。特に、「二極化は世界に広がっている問題で、米国や日本もまだ解決できないでいる」と述べ、二極化の解消に向け、経済政策だけでなく社会政策に至るまで数多くの政策を動員しなければならないと強調した。
南北関係については、「対北政策の中心にあるのは韓半島の平和と安全で、統一はその次だ」と述べ、「統一のために平和を壊すことをしてはならず、戦争が起こらないようにすることが最上の安保だ」と強調した。
与党・ウリ党の分裂の動きに関しては、再び地域主義の遠心力が働き党が揺れているとの見方を示した。