政府は、年初に盧武鉉大統領主宰の経済点検会議を開き、「2007年経済運用方向」を確定した。注目の経済成長率は昨年の5%(推定)を下回る4・5%に設定された。物価上昇率は2・7%(昨年2・2%)、経常収支は黒字幅が昨年の60億㌦から10億㌦に縮小すると予想している。このようなマクロ数値の悲観的な予想は、政府が今年の経済運用方向を成長より庶民生活の安定に力点をおいたことを示す。
今年の成長率目標4・5%は、IMF(国際通貨基金)が予想した今年の世界経済平均成長率4・9%をも下回る。だが、目標通りの成長率を達成すると、1人当たりGDP(国内総生産)は2万㌦を突破し、先進国に準じる水準に達する。
政府は今年の経済運用方向で、①マクロ経済の安定的管理②金融・外為市場の不安要因に対する先制的対応③庶民生活の安定④既存対策の速やかな履行を通じた雇用創出――の4大課題を打ち出している。いうまでもなく、政府の予想は、政府が新たな対策を講じることで達成できる目標値を意味している。今年は「参与政府」最後の年であり、新たな政策課題を遂行するよりは、これまで行ってきた政策をうまく仕上げることに優先順位を置いたものとみられる。「安定」がそのキーワードといえそうだ。
マクロ経済の安定的管理としては、不動産市場の安定があげられる。盧大統領は新年辞で、「不動産問題は政府の錯誤があった」と認め、対策を補完して、必ず正すと力説している。1月中に分譲価格改編案を発表する予定だ。
また、庶民生活の安定のため、宿泊業、家具店、厨房用品、身辺雑貨、美容室など庶民業種で適用しているカード手数料率(平均2・37%)を引き下げるようにカード業界を誘導する対策などを講じる。
雇用創出にも力を入れ、今年は30万人を目標にしている。現状のままでは30万人達成は困難なので、政府が財政支出を6167億ウォン増額し看護師や保育師といった社会サービス部門で3―4万人の働き口を創り出す計画だ。昨年の雇用創出目標は35万―40万人だったが、実績は30万人にとどまった。
政府は一方で、家計負債とウォン高が止まらない為替不安を今年の2大伏兵にあげている。家計負債の相当部分が短期変動金利付き住宅担保貸出であり、今年は金利が引き上がる可能性が高いだけに元利金返済の負担が加重する。家計負債の加重は消費に影響し、経済成長率に反映される。
為替は、10%のウォン高になれば、企業の売上対比営業利益率は0・3ポイント下落する。特に、輸出産業の自動車業界からは悲鳴の声が聞かれ、現代自動車の鄭夢九会長も、昨年末の大統領と4大財閥総帥との懇談会で「75%が輸出であり、ウォン高の影響が大きい」と苦境を漏らしていた。