米国発の金融危機が実体経済に波及している中、政府は、韓国銀行の金利引き下げに次いで、所得減税の前倒しに加え来年度予算で財政支出を10兆ウォン拡大することを検討中だ。
韓国銀行が27日、基準金利を現行の年5・00%から0・75%引き下げ、4・25%にすると発表した。韓銀は9日に0・25%引き下げたが、市中金利はむしろ上昇するなど効果がなく、今回の大幅追加引き下げとなった。
今回の利下げは臨時金融通貨委を開いて決定した。これは米同時多発テロ発生直後の2001年9月19日以来はじめて。韓銀関係者は、経済状況が急迫しているため、臨時に委員会を招集し追加利下げを決めたと説明した。
今回の利下げで、家計や中小企業の利子負担の軽減が見込まれるとともに、ウォン流動性の滞り解消の効果が期待できる。
だが、利下げはウォン資産価値の下落を招き、ウォン安の要因にもなる。これに対して韓銀は、国際原油価格は下落しており、主要先進国が相次いでおり、副作用は小さいとみている。
利下げとともに、銀行が一定時期に買い戻す条件で、銀行債と一部特殊債を買い入れることも決定した。今年償還期限を迎える銀行債は29兆ウォンに達し、そのうち5兆-10兆ウォンを買い取る方針だ。これは、10年前の通貨危機時にもなかった措置だ。銀行難を解消し、市中金利を引き下げる効果が期待される。
リーマンブラザーズの破たん以来、債券市場は冷え込み、銀行債の発行が困難となった。このため銀行債金利が跳ね上がり、CD(譲渡性預金)金利も上昇したため、CDと連動した市中銀行の住宅担保融資、信用融資、中小企業融資の金利も続々と上がり、家計と中小企業の利子負担が拡大していた。
これと関連、「銀行が預金により銀行債やCDに依存する資金調達方式を根本的に改めるべきだ」という指摘もなされている。
大幅利下げを決断した李成太・韓銀総裁は金融通貨委直後の記者懇談会で、「内需がかなり急速に冷え込んでいる。先進国の経済鈍化で、輸出が引き続きうまくいくと自信を持つのも難しい」として追加利下げさえ示唆した。
一方、政府は大幅な財政拡大策を検討中だ。また、証券市場浮揚のため証券取引税を現行の0・3%から0・2%ないし0・1%に引き下げる。また、景気沈滞に対応するため来年と2010年にそれぞれ1ポイント引き下げるとした所得税率を来年に一度に2ポイント引き下げるとともに、1世帯2住宅所有者または多住宅所有者に対する譲渡税重課税を廃止することも検討している。
政府高官は、「財政支出を拡大することはもちろん、追加減税措置も同時にとる」として、追加減税は中小企業に助けになる税目を中心に検討中だと明らかにした。