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2008/03/21

<総合>急落するウォン価値・1000ウォン=1㌦=100円時代に突入

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 米国発の金融不況の影響を受けて、ウオン価値が急落し、対米ドルレートは1ドル=1000ウォン台、対円レートも100円=1000ウォン台に切り下がっている。ウォン安は輸出業界にとってプラスに働くが、原油をはじめ原資材価格が急騰している現状ではその効果はあまり期待できない。逆に、輸入物価の急騰が国内物価上昇をもたらし、韓国経済の競争力を低下させると懸念する声が多い。12日間連続してウォン安が続く中、傍観していた当局も18日には市場に介入してウォン安に歯止めをかけざるを得なかった。ウォン安の現状と影響を見ると――。

 週明け17日のソウル外為市場のウォンの対米ドルレートは、1㌦=1029・20ウォンを記録、先週末に比べ31・90ウォン切り下がった。これは1998年8月6日の67・00ウォン以来の下げ幅だ。昨年末は1㌦=936ウォンであり、ウォン安が急ピッチで進んでいることが分かる。

 ドルは世界主要国の通貨に対して切り下がっており、円に対しても1㌦=95円をつけるなど大幅なドル安となっている。しかし、ウォンだけは米ドルに対して切り下がっているため、対円レートは対ドル以上に大幅なウォン安となっている。17日のソウル外為市場では、100円=1061・58ウォンをつけ、先週末より66・27ウォン切り下がった。昨年末の100円=837ウォンに比べ一気に200ウォン以上のウォン安だ。

 このような急激なウォン安の影響を憂慮した政府当局は翌18日、10億㌦と推定される外貨保有高を市場に緊急投入、ドル売り一色の流れを変えた。これにより、同日の対ドルレートは1㌦=1014ウォンにまで戻し、対円レートも100円=1043・63ウォンに戻した。
 
 現在のウォン安は、経常収支の赤字、外国人投資家の売り越し、国外投資ファンドの無差別なドル確保など複合的な要因があげられている。だが、通貨危機当時と違い、今回は米国に原因があり、ウォン価値だけが切り下がっている理由は不明だ。このため、一部で韓国経済に何か問題があるのではないかという疑念さえ生んでいる。

 急激なウォン安が経済に及ぼす影響は小さくない。通常、ウォン安は輸出産業にプラスになる。だが、現状をみると、楽観はできない。世界経済が悪化すれば、市場が委縮し、価格競争力は相殺されてしまう。特に、今年は原油導入に1000億㌦を要するなど原資材価格が急騰しており、行き過ぎたウォン安は原価負担を圧迫させ競争力を弱める作用をする。物価への影響も大きい。2月の生産者物価は前年同期比7%上昇し、消費者物価上昇率も管理目標を超える3・6%を記録している。

 市場関係者の間には、1㌦=1100ウォン台に突入するのも時間の問題とする見方もあった。そこまでウォン安が急激に進めば狂乱物価をもたらす恐れが強い。当初、企画財政部など政府当局者はウォン安を容認する姿勢をみせていたが、「傍観」批判もあり、介入に踏み切ったのが真相のようだ。

 韓国は1997年の通貨危機の苦い経験があるが、グローバル経済の影響は極めて大きい。李明博大統領は最近の為替動向に目を光らせているという。後手に回ることのないよう、機敏で適切に対処が求められる。