グローバル金融危機解消へ向けての欧米諸国の救済措置を受けて、週明けの株価は一斉に回復に向かった。だが、米国ダウ工業指数は15日一転して1987年のブラックマンデー以来の暴落を繰り返し、英仏など欧州主要国の株価も大幅下落するなど金融市場は依然と不安が続いている。韓国の株式市場も週明けから2日連続で大幅上昇したが、15日には再び下落し、16日にはさらに大幅下落する不安定な値動きをしている。米国発の金融危機は収束したとはいえない様相を呈している。
韓国の総合株価指数は、先週10日に1241・47まで下落したが、週明けの13日に47・06ポイント上昇の1288・53に回復、14日にはさらに1367・69に急上昇した。上げ幅は6・14%(79・16ポイント)に達し、金融危機解消の期待心理の大きさを伺わせた。ところが15日には1340・28に下落、翌16日はさらに1261・82(9時20分現在)まで下げ、下落幅16%の暴落状態になった。
一方、歯止めがきかなかったウォン安だったが、8日の1㌦=1395ウォンを底に14日(1208・09ウォン)までの4営業日連続してウォン高に振れた。ところが、15日には再び1239・50ウォンに下落、再びウォン安に転じた。翌16日は午前に160ウォン以上もウォン安になり、1400ウォン台に突入した。
一部に「金融危機の悪夢から解放された」と楽観する向きがあったが、米国が最大7000億㌦の公的資金投入を決めたにもかかわらず、ダウがわずか数日で回復から大暴落したのは、米国の今回の金融危機が尋常でないことを示している。また欧州市場も同様で、世界恐慌の恐れすら出てきた。今年のノーベル賞受賞者のクルーグマン・米プリンストン大学教授は、「現在の全世界の金融危機は大恐慌時と類似した点が多く、危機は解決されるにしても不況は長期化し、アジアをはじめ新興国も米国の金融危機と景気沈滞の影響を受けざるを得ない」と指摘。
欧州に比べ金融機関が健全な韓国としても油断できない。姜万洙・企画財政部長官は14日、訪問先のニューヨークで、シティグループ経営執行委員会会長を務めるルービン元財務長官らと会談し、「米国発金融危機が韓国経済に及ぼす影響は、輸出の多様化などで現在のところは制限的であり、経常収支も10月からは黒字転換が予想される」として、信用収縮の長期化による世界的な経済低迷の可能性に備えていると説明した。
むしろ、韓国金融市場の不安な値動きは、「苦痛のトンネルの始まり」を暗示していると見た方がいいかも知れない。国内外の研究機関が一斉に、韓国の来年度経済成長率は3%台に低下すると厳しい予測していることを重視すべきだろう。
先進各国の中央銀行がドルを無制限に放出するという異例の手段を動員して金融市場を人為的に安定させたとしても、問題の根本が解決されるわけではない、という怜悧な見方は少なくない。「米国にしても住宅価格が底を打つには今後1~2年はかかる。公的資金をいくら注ぎ込んでも、この過程で一部金融機関の破綻が不可避になるだろう。実体経済の不況が長引けば、消費・投資委縮で金融不良はさらに大きくなりかねない」という憂慮がある。
韓国は経済成長の50%以上を輸出に依存している。米国発の不況が世界経済を悪化させれば当然輸出は鈍化し、景気は悪化する。すでに、この間の金融危機の影響は雇用面に及ぼしており、9月の新規就業者は3年7カ月ぶりに最低水準に落ち込んだ。「政府も最悪のシナリオを念頭に置いて対策を講じるべきだ」という指摘がなされている。金融市場の騰落に一喜一憂するのではなく、根本的な対策づくりに着手する必要もありそうだ。