李明博大統領と中国の胡錦涛・国家主席は25日、青瓦台(大統領府)で首脳会談を行い、「戦略的協力パートナー関係」を全面的に推進することに合意した。今後、経済だけでなく政治、外交、軍事を含む各分野でパートナー関係を構築するための具体的協力内容を盛った4分野34項目の共同声明を採択した。その中には高位国防当局者の相互訪問活性化なども含まれる。経済に関しては韓中の貿易額を2010年に2000億㌦に増大させる目標を設定、そのための環境整備に努力する。また、現在進められている産・官・学共同研究成果を土台に韓中FTA(自由貿易協定)締結を積極的に検討することで一致した。
胡主席は、北京五輪閉幕翌日に訪韓し、韓国側は国賓待遇で熱烈に歓迎した。李大統領と胡主席は5月に北京で初の首脳会談を持ち、北京五輪開幕式に参加した際にも会談しており、今回が3回目の首脳会談となる。会談は終始友好的な雰囲気で行われ、共同記者会見の後はお互いが抱き合い友情をアピールした。
共同声明の合意内容は①政治②経済③人的・文化交流④地域・国際協力の4分野34項目。首脳会談でこれだけ多くの合意内容を盛り込んだのは異例といえる。
経済分野の合意は17項目で最も多いが、注目を引くのが2年後に韓中貿易を2000億㌦に拡大するという意欲的目標だ。
昨年の韓中貿易は1450億㌦(輸出820億㌦、輸入630億㌦)で、韓国にとって中国は最大の貿易相手国。貿易額は16年前の国交正常化当時の20倍にふくらんでいる。これをさらに拡大させるためにはFTA推進は避けることができなくなっている。現在、両国の産・官・学共同研究は6月に終える予定だったが、農水産物の扱いをめぐって調整がとれず、遅れていた。今回の首脳会談のゴーサインで近く研究報告書がまとめられることになりそうだ。
特に、李大統領は会談で、中国が原子力発電所40基を建設する計画を進めていることに関連し、「韓国は40年余りの間、原子力発電所を建設することで、主要資機材と運用において世界レベルの技術を備えている」とアピールし、韓国企業の参加拡大に協力を求めた。胡主席は検討すると約束した。
また人的交流も拡大することになりそうだ。現在、1日1万人以上の韓国人が訪中しており、両国間の往来は600万人に達するが、さらなる交流拡大に備え、ビザ手続きの簡素化などの対策を講じることになった。さらに2010年を中国訪問の年、2012年を韓国訪問の年に定め、観光など交流行事を推進する。
政治・軍事分野では外交当局による高官級戦略会議初会合の年内開催や高位国防当局の相互訪問活性化など幅広い領域で交流と協力を推進する。また、南北関係について、李大統領が南北間の和解と協力を通じ相生・共栄の南北関係を発展させるという立場を表明。胡主席は、南北が和解・協力して関係を改善し前向きに平和統一を実現することを引き続き支持する立場を示した。
この他に、①環境保護・エネルギー・通信・金融・物流分野での協力強化②良好な投資環境造成の努力③環境配慮・資源節約型社会の建設に向けた協力④自然災害・気候変動に対応するための交流・協力の強化⑤政府招請奨学生の増員などに合意した。
胡主席を迎えた25日の歓迎晩餐会で、メインテーブルに、年初に李大統領の特使として中国を訪問したハンナラ党の朴槿惠・元党代表やアジアで人気を集める女優・李英愛さんらが座り、両国の親密感を強調した。李さんが胡主席に中国語であいさつした後、話を交わす姿も目を引いた。また、中国でも活躍する歌手チャン・ナラさんは歌を披露した。中国内での嫌韓感情を配慮、友好をアピールした演出と見られている。
胡主席は翌26日、経済4団体主催による韓国財界人との昼食を兼ねた懇談会に出席し、 「中国は市場が大きく経済も発展を続けており、韓国は技術産業化と企業管理に豊かな経験があり相互補完性が強い」と指摘、韓国企業が中国中西部、東部地域のインフラ施設と生態環境建設に参入することを求めた。