政府は、14兆ウォンにのぼる大型の景気対策をまとめた。姜万洙・企画財政部長官をはじめ労働部、国土海洋部、知識経済部、環境部、金融委員会の6つの経済部署トップが3日、果川の政府総合庁舎で合同記者会見をもち、「経済難局克服総合対策」として発表した。同対策には、財政支出拡大、減税、流動性拡大、中小企業と庶民層支援などが盛られているが、特に最大の不況業種に転落した不動産・建設部門に対する「緊急輸血」の必要性から建て替え建築の規制緩和に踏み切った。政府は、これで世界的金融危機の実体経済への波及をある程度くい止めることができるとしている。
対策の一つの柱は、11兆ウォンの財政支出拡大と3兆ウォンの減税。その内訳をみると、まず①社会間接資本(4兆6000億ウォン)②中小企業及び庶民層支援(3兆4000億ウォン)③低所得層の福祉支援(1兆ウォン)④地方財政支援拡大(1兆ウオン1000億ウォン)⑤青年などの失業対策強化(3000億ウォン)などに投入する。原油払い戻し等のその他係数調整で4000億ウォン増収が見込まれ、財政党投入額は計10兆ウォンになる。
このため、既に国会に提出した来年度予算案283兆8000億ウォン(基金含む)を293億8000億ウォンに拡大修正することになった。また、公企業の投資拡大も1兆ウォン増やす。
一方の3兆ウォン減税は、企業の投資活性化のため年内に終わる予定だった臨時投資税額控除制度を1年間延長し、控除税率も7%から10%に高めるとともに、首都圏の新規投資も控除対象にする形で実施する。
もう一方の柱は、建設事業に対する規制緩和。まず建て替えアパートの容積率(敷地に対する延べ床面積の比率)を法定限度の300%(現在は地方自治団体により170~250%に制限)まで認めることにした。
また、ソウルの江南、瑞草、松波の3区を除き首都圏全域を住宅投機地域と投機過熱地区から解除する。
さらに、9月の税制改編で、来年7月から1世帯1住宅に対する譲渡税非課税居住要件を首都圏3年、地方2年に強化するとした方針を撤回した。この他に、金融機関の外貨建て預金もウォン建てと同様に5000万ウォンまで元利金を保証する。
このような対策内容をみると、不動産・建設部門を通じた内需振作に焦点が置かれている。財政支出面では社会間接資本に半額近くが充てられており、不動産投機再燃の憂慮にもかかわらず、建て替え規制を緩和している。財政支出の効果が早期に表れる建設部門に期待せざるを得ない現実があるからだ。中小企業や庶民層への支援も盛られているが、これは新たな政策推進ではなく既存政策の元で支援対象を拡大しているに過ぎない。
今回の対策と今年に入って推進してきた原油高克服対策や減税を含めると、景気浮揚策の規模は33兆ウォンにふくれあがる。これはGDP(国内総生産)の3・7%水準に達する規模だが、先進国と比べ必ずしも高い比率ではない。
政府は、今回の対策で来年は4%前後の成長と20万人前後の新規雇用創出が可能だと見ている。また、経常収支は今年の100億㌦前後の赤字から来年は50億㌦台の黒字に転換し、消費者物価も今年の4%後半から3%台に低下すると予測している。
姜長官は、「今は金融市場危機が実体部門に転移する段階であり、本格的な危機管理を始めるときだ」と指摘。「現在の危機は野球に例えると、9回のうち1回が始まったにすぎない」と、追加の経済対策の可能性を示唆した。