知識経済部と新成長動力企画団、コンテンツコリア推進委員会は22日、大田市の電子通信研究院で李明博大統領主宰の「新成長動力報告会」を開き、エネルギー・環境、新IT(情報技術)など6大分野で無公害石炭エネルギー、新素材・ナノ融合など22の新成長動力課題を最終選定した。半導体、造船、自動車に続き、今後5~10年間、韓国経済を支える産業群だ。官民は、2013年までの年までの5年間に99兆4000億ウォン(政府7兆9000億ウオン、民間91兆5000億ウオン)を投資する計画だ。
今回の新成長動力ビジョンは、360人に及ぶ政府と民間の専門家が李明博政権発足直後の3月から6カ月かけて共同作業を進めた結果まとめたもので、民間意見を大きく採り入れているのが特徴だ。主導的役割を果たした新成長動力企画団は徐南杓・KAIST(韓国科学技術研究院)院長が団長を務め、民間専門家が大挙参画している。コンテンツ推進委員会は、大象グループの金英薫会長が委員長を務め、民間の創意を発揮してアイデアと工夫を重ねた。
その結果、新成長動力として、①エネルギー・環境②輸送システム③新IT④融合新産業⑤バイオ⑥知識サービスの6分野に分け、無公害石炭エネルギー、海洋バイオ燃料、太陽電池、燃料電池発電システム、原発プラント、クリーンカー、船舶・海洋システム、ディスプレー、次世代無線通信、LED(発光ダイオード)照明、ロボット、新素材・ナノ融合、文化コンテンツ、ヘルスケアなど22課題を選定した。
新成長動力分野の中心はエネルギー・環境分野だ。燃費効率が高く、CO2(二酸化炭素)排出量が少ないクリーンカー、照明材として脚光を浴びているLEDまで含めると、「低炭素・緑色成長」と関連する分野だけで8課題にのぼる。
中でも注目されるのは、22課題中、最大の22兆ウオンを投資する無公害石炭エネルギー。これは低質の石炭を原料に合成石油、化学製品、電気を生産し、この過程で発生するCO2を再活用する世界でもまだ開発途上の産業だ。その核心技術である無公害ガス化技術、合成ガス融合技術に集中投資し、2018年までに国内石油消費量の8%を代替する計画だ。
これとともに、天草など海草類を活用して石油を代替できる燃料を生産する海洋バイオ燃料は韓国の研究機関が源泉技術を保有しており、今後有望な産業になる可能性が高い。
18兆7000億ウオンと2番目に投資額が多い放送通信融合メディアは、次世代ネットワーク装備市場などで世界の主導を得るため果敢な投資が必要としている。半導体には3番目に多い13兆5000億ウオンを投資し、メモリー市場の4倍規模に成長しているシステム半導体分野に開発の焦点を置く。また、新素材・ナノ融合分野への投資は4番目に多い12兆6000億ウオンを計画している。これは情報とエネルギー、環境、バイオなど他分野の産業の付加価値を創出する触媒の役割を果たす上でも重要な産業との位置づけによる。
このほか、デジタルデザイン、自動車・造船などとIT産業の融合システム、移動式港湾設備など高付加価値船舶・海洋システムなどもリストに含まれ、技術開発が進められる。また、製造業だけでは雇用創出に不足しているとして、新たに文化コンテンツなど知識サービス業を含めた点が注目される。
構想通りに新成長動力が推進されれば、韓国経済に大きな波及効果が期待でき①付加価値生産額は今年の116兆ウォンから2018年には576兆ウォンに達し②輸出も1208億ドルから7954億㌦増大する③雇用創出は今後5年間で88万人、10年間では226万人に達すると試算している。
今後の新たな成長を約束する産業政策だが、楽観的すぎるという指摘もある。新成長動力分野だけで毎年17万6000人分の雇用機会が創出されるという予想は、確かに経済現実に照らし容易でない。
財源調達にも問題がある。新成長動力を発表することで新規投資の誘引にはなるが、民間投資を積極化するためには出資総額規制の廃止、首都圏の規制緩和、金融と産業の資本分離緩和など解決すべき課題が多い。だが、米国発の金融危機などで国内外の経済成長が鈍化している局面で、政策を急変させることには慎重論も少なくない。
次代を担う産業の育成は急務であり、今回の民間主導のビジョンは注目に値するが、5年前に政府が次世代新成長動力を発表したものの、「絵に描いた餅」に終わったことを教訓にすれば、当然綿密できめ細かい対応が必要だろう。