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2008/09/12

<総合>「経済再生」の約束必ず守る

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    生中継のテレビ番組「大統領との対話」で質問に答える李明博大統領

 李明博大統領が11日、就任200日を迎えた。これを機に9日夜テレビで生放送された「大統領との対話―質問があります」に出演、「国民の期待が大きかっただけに失望感も大きかっただろう」と反省、「私は庶民や市場で働く商人の気持ちをよく知っている。経済を再生させるとの国民との約束は、任期中にどんなことがあっても守る」と力説した。2月25日就任した李大統領は「経済再生」の期待を担い80%に達する高い支持率を受け出発したものの、原油高騰の影響を受け経済は再生するどころか逆に悪化し、9月経済危機説まで流れた。米国産輸入牛肉問題での対応の失敗で国民の反発を買い、支持率は一時10%台にまで低下した。就任200日を契機に国民とのコミュニケーションを深めるなど新たな対応で国政の舵取りをする構えだ。

 今回のテレビ番組「大統領との対話」は9日夜10時から100分間行われ、李大統領は政策運営に対し自省するとともに、今後の新たな国政運営方向と課題について説明し国民の協力を求めた。番組には専門のパネラーほか会社員、主婦、学生ら100余人が参加、李大統領に対して厳しい質問もなされたが、李大統領の率直な発言に対しては拍手も起こった。

 李大統領は冒頭の発言で、「経済再生を願って大統領を選んだのに、いつになったら景気が好転するのか分からないというため息まじりの声を聞く。国民の皆さんの心情は誰よりも分かっている。希望をなくさないようにしよう。私たちには困難をチャンスに変えてきた歴史がある」と語った。

 最初に受けた質問は「支持率が10%台に落ちた理由は何だと思うか」だった。これに対して李大統領は、「政府は一生懸命にやろうと気がせいていた一方で、国民感情の理解に疎かった」と自省した。

 経済問題に関する質問が一番多く、参加者は「第2の通貨危機が起きるのではないか」「為替介入で国の金庫が空っぽになるのでは」「電気・ガス代を値上げするのか」「不動産投機が激しくなるのでは」「大企業に対する政策ばかりだ。中小企業政策はないのか」「授業料を払えず自殺した学生もいる」と質問をなげかけた。100分のほぼ3分の2が経済問題に費やされた。

 金融市場を騒がせた9月経済危機説に関する質問に対して、李大統領は「通貨危機のような状況に陥って経済が破たんすることは絶対にない。国債を売った人もさらに投資しており、外国の各機関が問題はないと評価している」と強調した。しかし、為替相場の不安については、「ウォン安政策で物価が上がったというのは事実ではない。為替政策は人為的に調整できる影響の範囲から外れている」と政府の積極介入に否定的な見方をほのめかした。

 住宅問題については、「全国的に未分譲マンションが多いが、首都圏などでは住宅が不足している。必要な所に住宅を建てるが重要である」として、必要であればグリーンベルトを解除しても都心の再開発や建て替えを活性化して住宅を安価で供給するため関連規制を緩和する方針を示した。

 物価政策については、「物価抑制を政府の最高成策として努力する」と述べながらも、これまで国民に負担を与えまいと値上げしなかった電気、ガス料金を、秋夕(旧盆)後に可能な範囲で調整する考えを明らかにした。大型減税政策については、「減税はポピュリズムではない。投資を誘発し経済を活性化させ働き場をつくるものだ」と批判論を一蹴した。公営企業先進化政策についても、「経済体質の改善に向けた不可避の措置だ」として強力に推進する考えを示した。

 仏教徒が反発した宗教偏重問題に対しては、同日午前に仏教や宗教偏重是正に関する方針を示したとし、宗教偏重を排除する方針を重ねて明らかにした。南北離散家族問題に関連しては、70歳以上の離散家族の自由な往来を最優先要求事項として南北対話を進める考えを示した。今回の「対話」を契機に政権の反転攻勢となるのか、注目される。