政府は2日に下半期(6~12月)経済運用方向を発表した。成長率などマクロ経済見通しを下方修正し、経済運営の舵を成長追求型から物価安定型に切り替えた。主要修正数値をみると、①経済成長率は当初の年間6%から4・7%②物価上昇率3・3→4・5%③経常収支赤字70億㌦→100億㌦④就業者増加数35万人→20万人。李明博大統領は、経済の現状について「われわれが直面する経済的な困難は、第3次オイルショックといえるほど厳しい」と危機感を募らせ、国民の協力を求めた。
李明博政権は今年3月、「7%成長・国民所得4万㌦・7大先進国入り」をめざした「747構想」に基づき、経済成長率6%、消費者物価上昇率3・3%、経常収支赤字70億㌦、就業者増加数35万人を達成するとの政策目標を発表した。
だがこの目標は、原油高騰など内外の経済環境悪化に照らし達成不可能となった。政府の今回の政策転換は、これを事実上認めたもので、目標達成に向けた無理な成長追求を改め、苦難に直面した経済の現実に沿った政策を推し進めるという現実的判断をしたようだ。これに対しては、経済専門家の間からも「妥当だ」との評価が多い。
政府の経済成長率見通しは、前年の5%より低い4・7%だが、IMF(4・1%)やOECD(4・3%)など国際機関はさらに厳しくみている。特に韓国銀行は下半期に成長率は3・9%に急降下すると見ており、今後の経済悪化を防ぐ手だてが緊要だ。
現代経済研究院は、原油価格が1バレル200㌦に上昇すれば成長率は2・5%に下がり、「物価高の中の低成長」、つまりスタグフレーションに陥ると警戒している。
消費者物価上昇率は、昨年の2・5%をはるかに上回る勢いであり、6月の上昇率は1年前に比べ5・5%も上昇。経常収支は大幅悪化が見込まれている。
すべては原油高にある。韓国経済を締め付ける元凶であり、今年上半期の輸入額は434億㌦に達する。前年同期比61%増であり、全輸入額の20%を占める。上半期の原油輸入単価は1バレル当たり100・1㌦だったが、上半期はさらに上昇するのが確実で、年間の原油輸入額は1000億㌦に達する可能性もある。
年間就業者増加数は、昨年の28万2000人を下回る。政府は、このような厳しい現状を踏まえ、経済運営の基本方針を物価安定と民生安定に置いた。無理な成長政策を遂行すればその副作用は大きく、結局スタグフレーションを招く恐れが大きいからだ。同時に規制改革、研究開発投資拡大、所得税など税負担緩和、投資活性化と消費基盤拡充、新成長エンジン創出などの対策も盛り込み、今後に備えるとしている。
一方、姜万洙・企画財政部長官は2日、経済長官合同会見を持ち、「米国産牛肉輸入反対デモや集会で、周辺の商店はもちろん経済全体にもその余波が及んでおり、特に最近はデモが激化しているため外国人投資家や観光客らの足も遠のいている」と自省を求めた。
経済が一度スタグフレーションに陥れば、国民はもう耐えるしかない。零細業者や自営業者ら小商工人団体は最近、「経済安定を取り戻せるようデモを早急に中断するよう求める」と主張し出した。しのびよる経済危機に対処するため、賢明な対応が求められている。