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2008/06/06

<総合>物価4・9%上昇、所得1・2%減少

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 物価が急上昇する中、所得は減少し、国民生活に逼迫感が高まっている。韓国銀行が2日発表した「2008年第1四半期(1-3月)国民所得(暫定)」によると、同期の実質GNI(国民総所得)は前期比マイナス1・2%を記録した。5年ぶりの大幅減少だ。これは国民の購買力が落ちていることを物語る。しかも統計庁によると、5月の消費者物価上昇率は前年同期比で4・9%を記録した。これは7年ぶりの最高値であり、特に生活関連物価上昇率は5・9%に達した。

 実質GNI増加率は昨年第2四半期(4~6月)の2%をピークに低下し続け、今年第1四半期はついにマイナスに陥った。これは03年の第1四半期のマイナス1・6%以来の最大の減少幅だ。前年同期比でも実質GNIの伸びは1・3%にとどまり、昨年第3四半期(7~9月)の5・2%に比べ大幅ダウンとなっている。

 韓銀は交易条件の悪化で実質貿易損失規模が急増したことを原因に挙げている。実際、原油をはじめとする原資材価格の急騰で輸入価格が急騰した半面、輸出価格は小幅増に留まり、貿易損失額は過去最多の27兆4000億ウォンに達した。

 一方、同期間中のGDP(国内総生産)は前期比0・8%(前年同期比5・8%)の伸びを示しており、GNIとのギャップが広がっている。

 韓銀関係者は、「生産物量基準では成長を持続しているが、実質GNIはマイナスの幅が大きく拡大した。これは、対外交易条件が悪化し、物量を所得に転換する過程で実質購買力が減ったことを意味する」と指摘、「物価が上昇する状況で所得さえ減れば内需消費に否定的影響を与えざるを得ない」と語った。

 所得が減少すれば、消費委縮→成長率鈍化→内需沈滞という悪循環を反復させる可能性が高い。特に、現在のような物価高騰の中ではなおさらだ。雇用への影響も懸念される。

 統計庁によると、5月の消費者物価は国際原油価格の急騰で前年同期比4・9%上昇した。今年に入り月を追うごとにハイピッチで上昇しているが、特に、日常生活で購入する食料品などで構成される生活物価指数は1年前に比べて5・9%上昇し、04年8月(6・7%)以降で最高の上昇率を記録した。実際に、庶民からは「給料は上がらないのに生活費支出は20~30%も上がっており、節約も限界にきている」という声が聞かれる。

 物価は凍結されている公共料金などが下半期(7~12月)に急上昇する要因を抱えており、実質GNI増加率も現在のままでいけば、年間を通してもマイナスに落ち込む可能性が高い。

 実質GNI増加率がマイナスとなるということは、経済成長にもかかわらず国民の懐事情はむしろ悪化していることを示す。しかも、景気は今後も好転が望めず、下半期のGDP成長率は3%に低下する見通しだ。交易条件も原油など原資材価格の急騰で悪化が続いており、史上最低を記録した第1四半期の純商品交易条件(05年基準100)80・5を下回る可能性が出ている。

 これは、05年に100単位の商品を輸出した金で100単位の商品を輸入できたとすれば、いまは100単位の商品を輸出した金で80・5単位の商品しか輸入できないことを意味する。問題はこのような状況が容易に改善できそうにないことだ。

 国際原油価格はバレル当たり140㌦台に上昇しており、穀物価格の上昇にも歯止めがかかっていない。専門家たちは、「原資材価格と為替レートが安定しなければ、交易条件の改善は困難だ」と分析しており、GNI増加率は年間でもマイナスになる可能性が高まっている。

 政府の経済政策は成長と物価で揺れ動いてきた感があるが、当面は物価重視に舵を切り替えなければならないようだ。為替レート「輸入物価上昇の直撃を受けるウォン安誘導を改めるべきだ」との研究機関の指摘が強くなっている。民生対策を柱とする経済総合対策を検討中とされるが、国民の所得が減少している現実をいかに打開するのか経済政策の真価が問われる。