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2008/05/30

<総合>韓中・「戦略的パートナー」に格上げ

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    共同記者会見を終え握手する李明博大統領㊧と胡錦涛国家主席(人民公会堂)

 中国を国賓待遇で訪問中の李明博大統領は27日、北京・人民大会堂で胡錦濤・国家主席と単独・拡大首脳会談を行い、韓中関係をこれまでの「全面的協力パートナー関係」から「戦略的協力パートナー関係」に格上げすることに合意した。今回の関係格上げで両国関係は、外交、安保、経済、社会、文化など全分野で協力体制を強化できることになり、首脳間のシャトル外交はじめ、外交当局間の次官級戦略対話など各級チャンネルが拡大される。今回の首脳外交を契機に韓中関係は新たな段階に入った。

 青瓦台(大統領府)関係者は、戦略的パートナー関係について、「戦略的目標の共有と理解なくしては対外戦略を効果的に進めることはできない」として、「対外関係において大きな影響を与える国家間関係だ」と説明した。中国は韓国のほかロシア、インドなど17カ国とこうした関係を結んでいる。

 胡錦濤主席は会談後の共同記者会見で、「修好16周年を迎える中韓関係の美しい未来を建設するため、戦略的協力パートナー関係を設定しなければならないという現実的要請に従ったもの」と説明。李大統領は、「両国関係の格上げは、未来に向けた新たな歴史の始まりを意味する」と述べた。

 具体的には①双方の意思疎通強化と外交戦略対話チャンネルの構築②通信・原発など互恵協力の強化及び韓中FTA(自由貿易協定)推進検討③人的・文化的交流と青少年交流の拡大④東北アジアの平和・安定と気候変動・国連改革など国際問題の緊密な協力――など4項目に合意した。

 特に、中国側が熱心な韓中FTAについて、産官学共同研究が順調に進んでいることを評価し、研究結果を土台に両国間の相互利益となる方向で積極的な検討を続けていくことで一致した。研究報告によると、韓中FTAを結べば韓国のGDP(国内総生産)が2・4~3・2%増加する。経済界では推進派が多い。だが、問題は農業。安価な中国産の流入で、2020年には韓国の農業生産額は05年比20%減少するとの試算が出ている。ここに直ちに交渉開始といかない理由がある。

 もう一つの大きな課題である北朝鮮問題では、韓中が足並みを揃え迅速な解決へ向けて共同努力することで一致した。李大統領は、北朝鮮の変化が必須だと指摘、「非核・開放・3000」構想など韓国政府の対北朝鮮政策を説明。胡主席は理解を示した。

 李大統領は、首脳会談に続き、翌28日には全国政治協商会議の賈慶林首席、温家宝首相と相次ぎ会談。両国政府間の共同声明が発表された。共同声明は前日の首脳会談で合意した事項を再確認、特に人的・文化的交流をはじめ各分野での交流拡大を盛り込んでいるのが特徴だ。

 北朝鮮と「血の同盟」関係にある中国との様々な交流拡大に踏み込んだことの意味は大きい。中国の東北アジア戦略で韓国のウエートがそれだけ大きくなっていることを示す。

 李大統領は29日、北京大学で演説した後、韓国企業が最も多く進出している青島を視察。30日帰国の途につく。