米国発世界不況への憂慮が、震源地の米国はもとより、欧州、アジアなど世界の株式市場を痛打、韓国株も急降下した。韓国総合株価指数(KOSPI)は週明けの21日、先週末より51・16ポイント(2・95%)安の1683・56をつけたのに続き、22日には1600割れ寸前の1609・02(前日比74・54ポイント=4・43%)まで下げた。2日間の下落幅は100ポイントを超える異常事態となった。翌23日には米連邦準備制度理事会(FRB)の0・75%緊急利下げを好感、KOSPIは1628・42まで戻したが、今回の世界的株安は短期間での解決は難しいとみられており、経済活性化を掲げて登場した李明博新政権にとって、頭の痛い問題になりそうだ。
今年に入って、サブプライムローン(信用力の低い個人向け住宅融資)問題で、シティーバンク、メリル・リンチ、バンク・オブ・アメリカなど大手米金融機関の巨額損失が次々と明らかになってきた。
ブッシュ大統領は18日、GDP(国内総生産)の1%(1400億㌦-1500億㌦)にのぼる緊急景気対策を発表した。しかし、市場は不十分と反応、株価はむしろ下落。さらに、米経済の悪化をものともしないかのように成長を続けてきた中国で、国内第3位の中国銀行に巨額損失が生じたとの報道も影響、アジア株は一気に全面安となった。
韓国証券市場は、2日連続の大幅下落を受け、01年の米テロ事件直後のパニック状態に近いという見方も出るほどの衝撃を与えた。FRBの大幅利下げで一服した感があるが、事態を重視した政府は、金融監督委員会と金融監督院局長クラスからなる特別作業班を稼働させた。金融市場の主要指標をさらに綿密にモニタリング、対応策をまとめる方針だ。
韓国の総合株価指数は、03年初の500を底に上昇を続け、2000にまで到達した。しかし、昨年11月から急降下し始め、この2カ月余で300ポイントほど下げた。そこに今回の大幅下落だ。
株価の騰落に一喜一憂する必要はないが、今回の世界を覆った金融不安は実物経済の悪化へとつながる恐れが強いだけにとても楽観はできない。米ウォールストリート・ジャーナル紙は、「過去25年に経験しなかった最悪の景気沈滞が訪れる」と悲観的な見方をしている。大物投資家のジョージ・ソロス氏は、「過去60年で最大の経済危機だ」と警告を発した。
証券界では、中国株の暴落にも注目している。昨年の上海株価指数は96%上昇しアジア主要証券市場で最高の上昇率を記録した。また、サブプライム問題の中でも中国株は比較的堅調だった。今回の中国株急落は、「ブルータスよお前もか」ではないが、米国発の世界不況に歯止めをかける地域がなくなったことを意味する。
こうした中、新政府の出汎を控え、成長優先のMBノミックス(李明博次期大統領の経済理論)は、はやくも大きな挑戦を受けている。今回の株価暴落は世界的な現象であり、単独で妙手は見出しにくい。政策力で金融市場を安定させようとすれば、景気浮揚に乗り出すほかないが、これによる副作用で経済政策の選択肢は狭まる可能性が高い。
韓国は貿易など対外依存度が極めて高く、世界経済が鈍化するほど打撃が大きい。今回の事態が収まっても3、4月ごろに第2波の衝撃があるという見方もあり、MBノミックスの対応力が問われる。