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2009/10/09

<総合>FTA、来夏発効へ15日仮署名

  • FTA、来夏発効へ15日仮署名

    FTA大詰め交渉後、共同会見する金鍾壎・外交通商部・通商交渉本部長㊨とキャサリン・アシュトンEU通商担当執行委員(今年1月)

 EU(欧州連合)のミニ憲法と呼ばれるリスボン条約批准同意案がアイルランド国民投票で可決され、EUが政治統合の段階に入った。リスボン条約はEUの「大統領」や「外相」の創設をうたっており、人口5億人のEUが一つの顔で連邦国家のように動けば世界は大きく変わる。人類史上初の広範な政治統合の試みが注目されるが、韓国にとっては当面、交渉が妥結したEUとのFTA(自由貿易協定)がいつ発効するのか、が最大の関心事だ。東アジア共同体の形成問題が浮上しそうだ。

 リスボン条約は、EU27加盟国のうち25カ国で事実上の批准手続きが完了した。ポーランドとチェコの2カ国が大統領署名手続きを残しているが、最終批准には何ら問題はないとされており、来年1月1日に発効する見通しだ。これで、1951年のパリ条約で欧州石炭鉄鋼共同体(ECSC)が創設されてから58年、欧州は地域統合の最終形態である政治統合に大きく近づいた。

 同条約で重要なのは、対外的にEUを代表する任期2年6カ月の首脳会議常任議長(大統領)と外交安保政策高位代表(外相)の新設とともに、「通商政策問題を含む国際協定を締結するには欧州議会の同意を得なければならない」と規定している点だ。韓国・EU間のFTAがこれに該当する。

 現在、韓国とEUは今月15日にブリュッセルで両国間FTAの仮署名を予定しているが、FTA発効のためには欧州議会の同意を得なければならない。このため来年はじめに正式署名し、来夏ごろ発効の見込みだ。

 新たに生じた欧州議会の同意という手続きのため、原産地規定などをめぐり仮署名に反対した欧州自動車工業協会などが欧州議会を相手にロビー活動をする可能性もあり、欧州議会内で論争が生じれば発効が遅れる可能性もある。

 EUとのFTAに対して韓国では次のような指摘がなされている。

 「われわれは、GDPの3分の1を占めるEUが域外国家に対して排他的になる可能性を警戒しながら、経済などあらゆる分野でパートナー関係を発展させていかなければならない。今年1~9月の韓国の貿易黒字の38%がEUとの貿易でもたらされており、対韓直接投資の49%をEUが占めている。このような投資と貿易機会をもっと増やそうと思えばまずFTAの発効が遅れないようにすべきだ。そしてEU議会の同意が早期になされるよう外交努力を発揮すべきだ」

 EUはすでに韓国にとって中国に次ぐ第2の貿易相手国である。FTAが発効すれば、双方は工業製品に対して原則5年以内に関税を撤廃しなければならず、飛躍的な貿易拡大が期待される。

 一方で、EUの政治統合は、東アジア共同体の形成にも少なからず影響がありそうだ。「世界的な地域共同体結成の動き中で最も遅れているのが東アジアだ。鳩山首相が主張する東アジア通貨共同体もまだ理想論に近い。だからといって理想を現実に変えた欧州の成就を他人事として片付けてしまってはならない」(中央日報社説)という指摘もある。

 東アジア共同体論は20年ほど前から唱える人がいたが、近年韓国では積極的にこの問題を研究しており、韓日中3カ国の中では早くから推進派の立場にある。東アジア共同体構想をマニフェストに掲げて勝利した鳩山政権の登場で日本でもこの問題が一躍脚光を浴び出した。こうした中で9日の韓日首脳会談、10日の韓日中首脳会談と相次いで開かれるだけに、東アジア共同体へ向けてどんな協議がなされるのか注目されている。