世界金融危機から1年たったいま、世界経済秩序も大きな再編を迎えようとしている。米ピッツバーグで開かれたG20(主要20カ国・地域)首脳会議で、同会議の定例化が決まり、来年11月に第5回会議を韓国で開催することになった。G20は「国際経済協力に関する第一のフォーラム」との位置づけであり、今後はG8に代わって世界のGDP(国内総生産)の85%を占めるG20が世界経済を動かすコントロールタワーの役割を担うことになる。議長国として韓国開催をどう演出するのか、腕の見せ所である。
李大統領は、今回のG20首脳会議の定例化について、「G8中心体制から抜け出し新時代に移ろうとすることを知らせる歴史的な意味を持つ。韓国が単なるメンバー国という地位にとどまらず定例化後の会議を開催する議長国になったという事実は、国際社会での韓国の存在がそれだけ高まったことを立証するものだ」と評価した。
もはやG8だけでは世界経済の問題解決は不可能であり、実際、地球温暖化など新興国の協力なしには一歩も進まない地球レベルの問題が山積している。
G20のメンバー国を見れば分かることだが、世界5大陸の主要国が顔をそろえており、これまでの日米欧からなるG8の時代は明らかに終わりを告げ、多極化の時代が開かれたことを物語っている。皮肉なことに、金融危機がこのような変化を督促し、世界経済の権力移動を引き起こした。
金融危機後の体制を協議する過程で、フランスがG14を提唱するなど韓国はメンバー国から外れる恐れもあった。それを考えると、大逆転劇を演じたといえる。当初開催国に名乗り出ていたオーストラリラは一転して「アジアでは韓国が開催すべきだ」と発言、韓国開催の流れが固まった。
実は周到な準備をしていた。昨年11月のワシントン会議の後、李大統領は司空壱(サゴン・イル)・大統領特別補佐官をG20企画調整委員長に就け、韓国開催へ向け巡回特使の役回りをさせるなど早くから根回し活動を展開していた。
韓国世論は、この韓国開催決定を大歓迎、これまで開催した国際会議の中でも最大規模の5億㌦以上の経済効果をもたらすとの予想まで出ている。早速開催都市としてソウル、仁川、釜山、済州、慶州などが名乗り出ている。
一つは世界経済の現状認識。最悪期を脱したことを確認したうえで、「経済の回復はいまだに不十分で雇用も多くの国で深刻な状態が続いている。回復が軌道に乗るまで景気回復策を継続する」ことを確認した。従って、例外的な税制・金融政策を平時にもどす「出口戦略」は回復が十分確保された段階で実施することになった。
もう一つは、世界経済の不均衡是正。これは、危機を再発させないための「持続可能な世経済秩序」を模索するもので、米国の過剰消費に牽引されてきた世界経済の構造転換を促したものだ。
来年11月の首脳会議では、世界金融危機後の世界経済のフレーム(基本骨格)の再編成が本格的に協議される。李大統領は、帰国後のG20特別会見で「新たな経済秩序に対するビジョンと哲学、未来への希望を提示する」と語った。また、アフリカなど開発途上国の代表も招待し、共に議論する場を設ける考えを明らかにした。どんな首脳会談になるのか、世界的にも注目されそうだ。