李明博大統領とASEAN(東南アジア諸国連合)10カ国(ブルネイ、インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム、ラオス、ミャンマー、カンボジア)首脳は2日、関係樹立20周年を記念して済州道で開かれていた韓国・ASEAN特別首脳会議の2日間の日程を終え、5部門・40項目の共同声明を採択した。共同声明で李大統領とASEAN加盟国議長は、「韓国とASEANがこの20年間、相互信頼と尊重を基盤に互恵的な協力関係を発展させてきた」と評価し、今後、経済分野にとどまらず政治・安保、社会・文化など多分野にわたるパートナー関係を強化することで合意した。特に、貿易規模を2015年までに1500億㌦に拡大することに合意し、投資協定に署名したことから、経済協力関係が大きく前進する見通しだ。
共同声明で、ASEAN諸国は、「新アジア外交」を通じてASEAN各国との関係強化をめざす韓国の努力を評価し、韓国は2015年までに政治・安保、経済、社会・文化の3つの共同体を構成するとしたASEANの目標を支持することを表明した。合意内容は広範囲にわたる。
特に、韓国とASEANは今後、①物流を含むあらゆる交通手段を包括する協力体系を築く必要性があるとの認識で一致。航空協定に関する協議も来年初めまでに開始する②労働基準や労使関係、雇用平等、職業能力開発などの分野においては研修や専門家交換訪問などで協力を強化する③気候変動や環境、最近の金融危機と世界経済の低迷、食糧安保、エネルギー安保、新型の伝染病など、世界的レベルの問題にも共同対応するなど多様な協力関係を築くことになった。
今回の特別首脳会議は、国際舞台における韓国外交の地平を広げ新たな成長動力となる「新アジア外交」の場ともなった。李大統領は、韓国・ASEANの未来は地域協力の拡大、低炭素グリーン成長など世界的課題に対する協力強化を図りながら、パートナー関係を固めることにあるとして、貿易の拡大とともに、①ASEANに対するODA(政府開発援助)を4億㌦に倍増②7000人のASEAN研修生招請③IT分野などを中心に1万人の海外ボランティア派遣等を提示し、歓迎された。
会議ではまた、双方向の文化交流と人的資源開発のための人的交流を強化する案も論議され、李大統領は、①2012年完工を目標に建設中の「アジア文化殿堂」を通じて文化・芸術交流の拡大をはかる②韓国・ASEAN協力基金を増額する③優秀なASEANの学生が韓国に多数留学できるようにグローバル・コリア・スカラシップを拡大すると表明。共同議長のタイのアピシット首相は、「今回の特別首脳会議は双方の関係を強化する歴史的なイベントとして刻まれるだろう」と評価した。
現在、ASEANに進出している韓国企業はおよそ4000社。フィリピンのアロヨ大統領は、「フィリピンには観光、学生の英語学習、老後を準備するために訪れる韓国人が多く、韓国は7番目に大きな貿易相手国だ」とし、韓国企業がフィリピンでビジネス機会を発見し、活用できるよう激励していると語った。
両国間の貿易規模は年々増大しており、2002年の353億㌦から07年には718億㌦に倍増、昨年は902億㌦に増えた。製油化学製品や半導体、船舶などが主な韓国の輸出品で、輸出入はほぼ均衡している。2007年に発効したASEANとの商品貿易協定が近年の貿易急増に貢献している。今後、更なる貿易増大で合意したことから、双方間の経済交流は弾みがつきそうだ。
人口5000万人の韓国と5億6000万人のASEAN―。今回の首脳会議は、今後韓国とASEAN間で巨大な共同体づくりを予感させるに足る大きな成果をあげたといえそうだ。