ベトナム、カンボジア、タイの東南アジア3カ国を歴訪中の李明博大統領は21日、最初の訪問国ベトナムのハノイでグエン・ミン・チェット国家主席と首脳会談を行い、両国関係を「戦略的協力パートナー関係」に格上げするとともに、両国間の貿易規模を昨年の100億㌦水準から2015年に200億㌦規模に倍増させることに合意した。また、両国間のFTA(自由貿易協定)交渉へ向け年内に共同作業チームを設置することになった。
ベトナムが戦略的協力パートナー関係を結んだ国は中国、ロシア、インド、日本に続き韓国が5カ国目。韓国がこの関係を結んでいる国・地域は、ベトナムのほか米国、中国、ロシア、EU(欧州連合)など11を数える。
青瓦台(大統領府)の李東官・弘報首席秘書官は会見で、戦略的協力パートナー関係は政治、経済、人的、文化交流に至るまで、全面的な協力パートナーになることを意味すると説明。今回の関係格上げを受け、外交、安保、国防分野での協力と対話を増進させることになる。
両首脳は会談成果を共同声明として発表したが、注目されるのは経済関係の協力強化だ。
まず貿易の倍増。両国は1992年に国交回復、以後17年間に経済関係は改善著しい。特に貿易規模は03年の30億7000万㌦から07年に71億5000万㌦、昨年には世界不況の中で98億4000万㌦に拡大する進展ぶりをみせている。
ベトナムへの企業進出もさらに活発になりそうだ。韓国企業のベトナム進出は急増著しく、現地雇用増大にも貢献している。李大統領はハノイ空港に到着後、携帯電話を生産するサムスン電子の現地工場を訪問し、関係者を激励した。ここでは4月から31のモデルを月に150万台生産、2000人を雇用している。
今回の首脳会談では、李大統領の要請を受け、ベトナムが国家事業として進める紅河の開発事業、ホーチミン~ニャチャン間高速鉄道の複線化、ホーチミン~カントー間高速鉄道事業への韓国企業の参画を保障することを共同声明に明記した。
青瓦台によると、70億㌦規模の紅河開発事業は、李大統領が05年のソウル市長在任時に事業開発計画の樹立を支援し、昨年1月に韓国企業16社が事業開発推進団を発足させた。ホーチミン~ニャチャン高速鉄道の複線化事業は90億㌦規模にのぼる。
李大統領は首脳会談後、ハノイ・ナショナルコンベンションセンターで開催された「韓国・ベトナムCEOフォーラム」で基調演説を行い、両国のグリーンパートナーシップ構築を提案。両国は、原子力エネルギーの利用、再生可能エネルギーの開発、エネルギー節約型産業構造への転換、紅河開発事業など、グリーン成長分野の協力を通じ、相互に経済的利益を共有することができると強調した。
李大統領を迎え、ハノイのコンベンションセンターでは、18日から「韓国・ベトナム週間」行事が行われるなど歓迎ムードに包まれ、ベトナムのメディアも強い関心を示した。李大統領訪問前の19日、チェット国家主席は特別記者会見を開き、韓国が対ベトナム投資国の中で最上位圏を占め、経済発展に大きく寄与したと評価。既存の投資分野にとどまらず重工業、社会インフラ、ITを中心とする先端技術分野への投資拡大にも期待していると述べた。
李大統領は22日にはカンボジアのプノンペンに移動、フン・セン首相と首脳会談を行い、翌23日にタイに移動、ASEAN(東南アジア諸国連合)+3(韓日中)首脳会談や東アジア首脳会談に臨む。