経済危機克服へ向けた政府の取り組みが本格化している。李明博大統領は2日、新年国政演説を行い、「今年は非常経済政府体制をとる。これにふさわしい国政刷新も断行する」と述べ、①非常経済政府の構築②民生に気を配る温かな国政③先進一流国家へ向かう中断なき改革④グリーン成長と未来への準備――の4大国政方針を明らかにした。非常政府の柱となるのは、李大統領を議長とする非常経済対策会議。実務機関として、青瓦台(大統領府)に「非常経済状況室」を新設。最初の政策として、グリーン成長のための36に及ぶニューディール政策が発表された。経済界は、雇用創出など「経済再生」策を歓迎すると共に、投資や社会貢献拡大で政府政策に協調することを誓った。(5面に李大統領演説要旨)
李大統領主宰で6日開かれた今年最初の国務会議で、4大河川整備など36の事業に4年間で50兆492億ウォンを投じて96万人の雇用を創出する「雇用創出に向けたグリーン・ニューディール事業推進案」を確定した。閣議後、韓昇洙総理が閣僚らと合同会見を開き、事業の詳細を報告した。
事業内容は、従来の低炭素・環境配慮・資源節約などのグリーン成長政策を体系的にまとめ、雇用創出政策を融合したもので、雇用創出を成長エンジンにすることに主眼を置いている。
中核となる9事業(4大河川整備、グリーン交通網構築、グリーンカー・クリーンエネルギーの普及、代替水資源の確保・環境配慮型中小ダムの建設など)に 39兆ウォンを投じ69万人、27の関連事業に11兆ウォンを投じ27万人の雇用を創出できると計算している。特に、4大河川整備と周辺整備事業には18 兆ウォンを投じ、28万人の雇用創出を期待している。
まずCO2(二酸化炭素)発生量が少ない鉄道交通網を拡張するため、2010年に予定されている京釜高速鉄道の完全開通を繰り上げる。また、17年予定の湖南高速鉄道開通も早める計画だ。中でも、4大河川沿いに全長1297㌔㍍に及ぶ自転車専用道路を建設するなどグリーン交通網事業が注目を引く。18年まで10年計画で建設する3114㌔の全国一周自転車道路と連結する。
村や都心を流れる河川をエコ・リバーとして復元する「生きている河川100プロジェクト」の展開や建築物の屋上、壁面の緑化事業、環境配慮型道路「エコ・ロード」事業も推進する。普賢ダム(慶北道永川市) など中小規模の環境配慮型ダムを9カ所に建設する。
省エネに向けては、太陽熱温水器を備えたグリーンホーム200万戸を供給するほか、12年までに公共施設照明の20%をLED(発光ダイオード)に転換する。このほか、エコ・グリーンカーの普及を12年に6万8000台まで増やす。太陽熱、地熱など再生可能エネルギーを家庭にも普及させる。バイオエタノールや、エタノールと石油系ガスを合成した「バイオETBE」もテスト普及させる。
廃棄物資源の再資源化に向け、廃棄物固形燃料化施設などを57カ所に設置し、バイオマス資源、家畜ふん尿を資源エネルギーとして使用する案も進める。森林管理面積を12年には34万ヘクタールに拡大し、山間の村に16の山林炭素循環村を造成する。山林バイオマス資源活用施設も支援する。
政府はこのような事業の支援方向や根拠を盛り込んだ「グリーン成長基本法」(仮称)を制定する。