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2009/03/06

<総合>豪・ニュージーランドとFTA

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        首脳会談を終えた李明博大統領㊧とジョン・キー首相

 李明博大統領が2日、ニュージーランド、オーストラリア、インドネシアの3カ国歴訪に出発した。今回は3カ国とも国賓訪問であり、経済をはじめ多角的協力関係を構築する新アジア外交と位置づけている。ニュージーランドとオーストラリアとの首脳会談では、FTA(自由貿易協定)交渉開始で合意し、多分野の協力を進めることになった。李大統領は、歴訪中に「新アジア構想」を発表、アジア全域に協力関係を拡大、経済だけでなく安保、文化、エネルギー、グリーン成長など多方面にわたる協力関係を構築するという新たな外交戦略を明らかにする予定だ。

 最初の訪問国、ニュージーランドのシドニーで3日、李大統領はジョン・キー首相と首脳会談を行い、FTA交渉開始に合意し、早期妥結を盛り込んだ共同声明を採択した。FTAが発効すれば、韓国は機械類、自動車部品、電子・石油製品などの分野で輸出増大が期待される。ニュージーランド側は、酪農加工品、肉類などの分野で輸出増大効果がある。

 両首脳はまた、定例外相会談の継続、議会交流を含む閣僚級・高官級接触拡大、クリーンエネルギー源をはじめとするグリーン成長分野の協力強化、農業改革に向けた協力関係の構築などに合意した。このほかに、①映画産業の協力②ナノ技術分野の共同研究③観光振興と両国内ワーングホリデー事業の協力などで一致した。

 また、国際舞台で緊密に協力することにし、保護貿易措置の凍結を含め世界経済危機に対する協力強化でも一致した。李大統領は、韓国企業がブロードバンドのインフラ構築事業、オークランドの電動車と統合交通カードシステム事業、バイオエネルギー造林事業に参入できるよう協力を求めた。

 李大統領はまた、ビジネスフォーラムで、最近の世界的な経済危機について「一部の国が自国の産業と雇用だけを優先する保護貿易措置を取っているが、保護主義への後退は報復の悪循環を招き、世界経済の回復を遅らせかねない」と警告した。FTA交渉開始に関しては、「相互の市場拡大はもちろん、両国関係発展の新たな機会になる」と述べた。

 李大統領は、オークランドの作物食品研究所を訪れた。1984年の改革で世界的競争力を備えた同国農業をベンチマークするため。李大統領は同国の農業改革の成果を高く評価し、政府支援への依存度が依然として高い韓国農業の変化の必要性を数回にわたり強調した。

 李大統領は、「韓国の農村も発展したが、いまだ投資に比べ農産物競争力は低く、韓国の農業政策は全般的に支援中心から脱していない」と指摘した。これに対し、ニュージーランドのカーター農相は、「自国農民のだれ1人として政府支援金に依存していた過去に戻ろうとする者はいない」と述べ、1980年代の改革には苦痛もあったが、最も重要なのはリーダーシップと成功に対する確信だと強調した。

 翌4日はオーストラリア入りし、太陽光・再生可能エネルギー研究所を視察した後、キャンベラに移動。ブライス総督、ラッド首相と相次ぎ会談。ラッド首相との首脳会談では、両国間FTA交渉問題開始に合意した。また、炭素低減分野での協力拡大、気候変動共同研究、エネルギー・資源協力、文化・人的交流拡大、両国間政治・安保・汎世界分野協力強化案などでも一致。さらに、2011年の両国修好50周年を控え、交流増大についても意見交換した。

 6日にはインドネシアのユドヨノ大統領との首脳会談で、山林バイオエネルギー産業育成案、インドネシア内造林地の20万㌶追加確保、銅鉱・油田などインドネシア主要地下資源開発プロジェクトに対する韓国企業参入案、エネルギーフォーラム・山林フォーラムなど2国協議体活性化案を協議する予定だ。歴訪には鄭俊陽・ポスコ新会長をはじめサムスン、現代自動車、SK、LG、双竜、三煥企業などの役員らが同行している。

 李大統領は上半期中に中央アジアを歴訪し、6月にはASEAN(東南アジア諸国連合)10カ国首脳を韓国に招待し特別首脳会議を主宰する。